イオンチャネルを活性化させる既存薬
岡山大学の研究グループが心筋梗塞を抑制する新たな手法を発見した。従来の治療薬では心臓の細胞のミトコンドリアにあるイオンチャネルを活性化させるが、別のイオンチャネルを不活性化させる手法で心筋梗塞の進行を抑えることに成功した。
(Wikiペディアを利用)
心筋梗塞の予防・治療薬ではアデノシンなどの薬剤が主流となっている。これらは作用経路としてミトコンドリアにあるKATPイオンチャネル(アデノシン3リン酸感受性カリウムチャネル)を活性化させている。
イオンチャネルの不活性化で心筋梗塞を抑制
心臓の細胞膜には陽イオンの出入り口となるタンパク質があり、このTRPM4イオンチャネル(一過性受容器電位チャネルサブタイプM4)は心筋細胞の電気活動に関わっている。
今回の研究で、急性心筋梗塞を起こす前にTRPM4チャネルの阻害剤をラットに投与したところ、心筋梗塞の大きさが対照群の4分の1以下となり、心臓の収縮機能の低下や不整脈が抑えられることが明らかになった。またKATPイオンチャネルを不活性化させても心筋梗塞の発現を抑えられることがわかった。
この成果は心筋梗塞のメカニズム解明につながる可能性がある。さらに、心筋梗塞との併発が多い心不全や糖尿病などはミトコンドリアの機能が低下しているため、ミトコンドリアKATPイオンチャネルを必要としないTRPM4阻害薬が新しい予防・治療法として期待される。(馬野鈴草)
▼外部リンク
岡山大学プレスリリース
http://www.okayama-u.ac.jp/
PLOS ONE
http://www.plosone.org/