城氏は就任に当たって「前職の内閣府では日本再興戦略の事務局と連絡を取りながら仕事をしていた関係で、医薬品・医療機器が日本の成長分野の一つの柱という位置づけは認識していた。診療報酬改定に向け厳しい局面に立っていることも理解している。業界の発展と共に、薬価改定に向け良いルールを作ることも仕事だと思っているので、しっかり対応できるよう頑張りたい」と抱負を語った。
その上で、流通改善と次期薬価制度改革を大きな課題と位置づけた。流通改善をめぐっては、過去最低となった3月末時点の妥結率について、「単品単価取引で覚書を交わしていこうという努力の結果であり、過渡期の状況かもしれない」との認識を示しながらも、「望ましい状況とは言えない」と指摘。「まず、丁寧に流通改善の趣旨を理解してもらえるようお願いすることが第一」との考えを示した。
次期薬価制度改革の大きな焦点であり、試行導入が継続している新薬等創出加算の本格実施については、「イノベーションにつながるもので、新薬創出のために非常に重要」との認識を述べ、「どういう形で実現できるよう取り組んでいくか、これまでの業界の対応も含めて、きちんと理解が得られるよう支援したい」とした。
一方、積み残された課題である必須医薬品の薬価維持についても、「特に災害時対応としての輸液の安定供給などもあるので、きちんと非常時にも備えられるような薬価が維持されていることが重要」としつつ、「不採算再算定を行っても、流通段階で薬価が下がってしまっては、何のための薬価引き上げかということになる。なかなかハードルの高い課題とは思うが、それぞれに努力していく余地はあるし、われわれも趣旨が生かされるよう努力したい」と語った。
長期収載品をめぐっては、「全体的にどう制度設計するかが課題。やはり長期品のニーズはあるのが現状で、どうしてそうなっていて、どういう役割を長期品が果たすのか、関係者が皆で考えなければならない」との見解を述べた。
今後の製薬産業政策については、「特に新薬創出という面では多額の研究費がかかるので、基礎研究から保険適用に至るまで、各ステージごとに支援していくことが大事」との認識を示し、政府が検討している日本版NIHの創設等の動きに「できるだけ経済課の立場で尽力していきたい」と語った。