睡眠不足を訴える人が、満月の頃に多いことを、経験的に感じている専門家は多かったようです。今回、Current Biology誌に発表された論文では、これが事実であったことを初めて科学的に裏付けたものとなりました。
そして、この調査では、文明が発展して快適な世の中となった現代でも、私たち人間が知らない間に自然界の力に左右されていることをも裏付けたことになります。
睡眠不足と、月のサイクルは、月が見えないところにいたり、天気が悪く月が出ていないときでも、関係し合っていることが分かりました。また、月の満ち欠けについて全く意識していない人でも、睡眠と月の満ち欠けには関連性がありました。
調査では、33人を対象にしました。睡眠の状況は、ホルモンレベルとレム睡眠、ノンレム睡眠を見分ける、眼球の動きで評価されました。
深い睡眠に入ると、脳の働きが30%程度減少すると言われています。満月が近いと、この状態に入るまでの時間が、新月の頃に比べて5分くらい長くなることが分かりました。そして、一晩あたりの睡眠時間は20分ほど短くなっていたのです。
同時に、規則正しい睡眠と気象のリズムに関連するホルモン、メラトニンが減少していることが分かりました。このことから、満月と睡眠不足の関係は、偶然でも、思い込みでもないことが明らかになったのです。どんなに科学が進歩しても、自然の力の偉大さは私たちのからだやこころに強い影響を及ぼすのですね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Bad night’s sleep? The moon could be to blame
http://www.eurekalert.org/pub_releases/
Evidence that the Lunar Cycle Influences Human Sleep
http://www.cell.com/current-biology/retrieve/