■「スピード感持って取り組む」
榮畑潤厚生労働審議官は25日、就任後初めて専門紙の共同取材に応じ、来年度予算の概算要求で、成長戦略「日本再興戦略」の具体化を最優先に盛り込んでいく方針を明らかにした。榮畑氏は、まだ財務省からシーリング(概算要求基準)が示されていないとしつつ、成長戦略に示された医薬品・医療機器・再生医療製品の実用化などを政策として実現するため、「省を挙げてスピード感を持って取り組んでいかなければならない」と意欲を示した。
就任に当たって榮畑氏は、「厚労省にとって、今後さらに少子高齢化社会が進行する中で、安定した社会保障制度を作り上げ、運営していくためにやるべきことは多い」と指摘。特に社会保障と税の一体改革、成長戦略を受けた政策の具体化を当面の大きな課題と位置づけた。
その上で、「通常国会で継続審議になった法案について、秋の臨時国会で通さなければならないし、その後に予算編成を控え、成長戦略に盛り込まれた政策も着実に予算を組んでいかなければならない。年末まで切れ目なく取り組むべきことがあるが、新事務次官と共に事務方をまとめて、つつがなく厚労行政を進めたい」と抱負を語った。
6月に閣議決定された政府の成長戦略では、優れた医療技術の核となる医薬品・医療機器・再生医療製品の実用化、審査の迅速化への体制整備や国際水準の臨床研究・治験が確実に実施される仕組み構築など、厚労省が取り組むべき政策が多く打ち出された。
榮畑氏は、「やはり経済を成長させなければ、社会保障の安定的な運営は難しい」とし、経済成長の必要性を強調。「いま各局で具体化に向け、まさに玉を磨いているところで、必要なものについては制度化し、来年度予算に盛り込んでいくというように、実現に向けスピード感を持って取り組んでいかなければならない。そういう意味で成長戦略の具体化は大きな課題」との考えを述べた。
その上で、来年度予算の概算要求に向け、成長戦略の具体化を最優先と位置づける方針を明らかにし、「当然、政府全体としても成長戦略の具体的な実行は極めて優先度の高い課題だと思うし、それを受けて厚労省としては、シーリングの仕組みが見えた段階で、概算要求の中で具体的に政策を進めていくことを考えたいと思っている」と述べた。
一方、医療提供体制の見直しと医療保険制度改革に向けては、8月に予定される社会保障制度改革国民会議の取りまとめを受け、厚労省として具体的な政策の詰めを行っていきたい考えを示した。