佐藤氏は、就任に当たって「約15年ぶりに健康局に戻ってきて緊張している。長く役人を続けていると過去の仕事、経験に自信が出てしまうものだが、15年で様々な出来事が大きく動いた。そういう意味では新人の気持ちで頑張っていきたい」と抱負を語った。
その上で、子宮頸癌ワクチンの積極的推奨中止や風疹ワクチン不足など、対応が迫られるワクチン政策について、「政策を進める体制が非常に丁寧で重層的になってきた」と現状認識を示し、過去の自らの経験と医師としての知識をマッチさせ、政策判断に生かしていきたい考えを示した。
また、「国際的な交流が進み、世界で発生した感染症が翌日に国内へ持ち込まれる可能性が高まってきた。そうした社会の変化を踏まえ、次の次元に入った感染症対策の一端を担うべく努力していきたい」と語った。
健康寿命の延伸を位置づけた成長戦略にも言及し、「もともと公衆衛生の原点は、産業からやや遠いところにあった。そうはいっても、過去に健康運動指導士や健康増進施設の認定など産業化を念頭に置きながら政策を進めてきたし、癌対策でも創薬などにつながる部分はある」との認識を示し、「公衆衛生の視点は重視しつつ、将来的な産業化も念頭に置いて仕事に携わっていきたい」と語った。
癌対策については、「癌の治療法や発癌の仕組み解明などは進んできたが、まだ現在でも癌の克服は難しい。第4次対がん総合戦略のスタートに当たっても、これまでの歩みをいい意味での反省として、研究を進めていく方向を考えたい」と述べた。
疾病予防に向けては、「一次予防から三次予防までバランス良い健康づくりを進めていく重要性は変わらない」と指摘したほか、「健康の地域差が依然としてある」とし、「それが健康寿命の延伸につながるかどうか、もう少し科学的に見ていきたい」とした。