この日の会合では、業界団体から製薬協ワクチン実務委員会委員長の上田徳仁氏、同委員の椎名邦彦氏が出席した。意見陳述では、世界のワクチン市場の約8割を英グラクソ・スミスクライン(GSK)、仏サノフィ、米メルク、米ファイザー、スイス・ノバルティスの大手5社が占めている現状を指摘した。
その上で、日本では開発すべきワクチンを同定するための疫学調査が充足していないとして、国が大規模な疫学調査体制を整備するよう求めた。また、定期接種化されるか分からないため、市場規模予測が困難であるとし、定期接種化のプロセスを明確化することを要望した。
意見交換で委員からは、「定期接種化を前提に開発すると言っているように聞こえる」と企業の姿勢に不満を示す声もあったが、「定期接種化されなければワクチン開発は難しい」と理解を示す意見も出た。
基盤研からは、米田悦啓理事長、榑林陽一創薬支援戦略室長、石井健創薬基盤研究部らが出席。ワクチン研究開発は、感染症の枠を超えて対象疾患が広がっており、グローバルな対応が求められているとし、産官学連携でワクチン研究力と予算を結集させ、ファンドがついたワクチン開発チームの形成が必要とした。
一方、日本小児科学会など14学会が参加する「予防接種推進専門協議会」の委員長を務める岩田敏氏(慶應義塾大学医学部感染症学教授)も意見を述べ、開発を期待するワクチンとして、混合ワクチン(麻疹ワクチンベース、DPTワクチンベース)や渡航者ワクチン(狂犬病ワクチン、マラリアワクチン等)を挙げた。新規ワクチンでは、RSVワクチンの開発を求める意見が最も多かった。
また、厚労省が日本ワクチン産業協会の会員社に対して、国内開発が重要と考えられるワクチンを聞いたところ、小児用混合ワクチン、渡航者用ワクチン、ノロウイルスワクチンなどが挙げられた。