TOMM40を加えたバイオマーカーを検証
武田薬品とジンファンデル社が従来のバイオマーカーに新たな遺伝子を加えることで、アルツハイマーの発症リスクを予測する精度を高めたと国際アルツハイマー病学会で発表した。
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アルツハイマー病に伴う軽度認知機能障害の発症リスクを予測するために、アポリポタンパク質Eの遺伝子多型と年齢を組み合わせたバイオマーカーが用いられてきた。これにTOMM40遺伝子を加えると、さらに予測精度が高くなると考えられる。この新たなバイオマーカーの発症リスクの予測精度を検証した。
アポリポタンパク質とは血清中に存在する脂質・タンパク質複合体のタンパク質部分で、脂質代謝やコレステロール代謝の調節に欠かせない。このアポリポタンパク質E遺伝子の多型、ε4対立遺伝子は高齢発症アルツハイマー病のリスク因子とされている。
TOMM40遺伝子、アポリポタンパク質E遺伝子、年齢を用いたリスク評価手法を検証した結果、陽性予測値および陰性予測値は70~80%だった。画像診断や骨髄検査と比べても精度の高いことがわかった。
早期診断を目指す
アルツハイマー病を発症する高齢者(65~85歳)は増加しているが、脳の損傷を回復する治療法はまだ確立されていない。同疾患の進行を遅らせる医薬品の開発が望まれる。
武田は今後、臨床第3相試験で認知機能が正常な高齢者(65~83歳)を対象に5年以内の発症リスクの予測精度を検証する。バイオマーカーによる早期診断、発症の遅延が可能になれば、治療上の有効な選択肢になると期待している。(馬野鈴草)
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武田薬品工業株式会社ニュースリリース
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