最近発表された調査で、視覚に何らかの障害がある人の交通事故リスクを把握するためには、視力の検査だけでは不十分であることが明らかになりました。車の運転をするには、一般の視力検査の値だけではなく、色のコントラストをどのくらい把握できるかと言うことが重要なのです。
調査では、99人の白内障の高齢者を対象に、片方の目の手術の前と後で、車の運転で気になることを自己申告してもらいました。ほとんどの人で、手術を行った後では、視力、色のコントラストを区別する能力、立体視の能力など、様々な点で目の機能が回復していました。
これらの目の機能のうちで、車の運転に関連していたのは、色のコントラストを見分ける能力でした。車の運転と、コントラストを見分ける能力の関連は、過去にも指摘されており、過去の報告を裏付ける結果になりました。視力がある程度確保されていても、コントラストの見分けが出来ないと、例えば暗いところで黒っぽい服を着た人を見分けることが出来ないと言った、安全上のリスクを伴うわけです。
調査が行われた公立病院では、通常は白内障の手術は片目ずつ行われます。両方の目の手術を受けるまでには、長い待ち時間があるとされています。
シルバードライバーが増えている昨今では、視力のみではなく、コントラストをどの程度見分けることが出来るかも併せて判断するうえでの、社会的な取り組みが必要と考えられます。また、この病院のように、両目の手術の間隔が開いてしまう状況がある場合、運転を行う人に対しては、できる限り早くに両目の手術が終了するよう配慮するべきとされました。
シルバードライバーによる事故を防止するためにも、今後も研究が続けられ、具体的な対応策が提案されるとのことです。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Which visual measures affect change in driving difficulty after first eye cataract surgery?
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/