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日本製薬医学会、臨床研究の体制再検討を―不正防止に向け公的組織も

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2013年07月19日 AM09:48


■緊急提言を公表

日本製薬医学会は、京都府立医科大学が実施した降圧剤バルサルタンの臨床研究でデータ改ざんが発覚したことなどを受け、「臨床研究の信頼性に関する緊急提言」をまとめ公表した。データ改ざん事件の背景に、品質管理や支援体制の不備があったと指摘。臨床研究に対する社会的な信頼を回復するため、GCPが適用されない臨床研究の管理体制を再検討することや研究不正を防ぐ公的な組織体制の検討等を提言した。

バルサルタンの臨床研究データ改ざん事件は、日本の臨床研究の信頼性を大きく揺るがす事件となった。こうした事態を重く見た同学会は、治験を規制するGCPと違い、臨床研究に関する倫理指針が品質を規定していないために、品質保証が不十分な研究結果を発表してしまう一因になっている等と背景を指摘した。

特に臨床研究は、対象者の協力を得て成立し、その成果は保険制度のもとで医療の実践に直結し得るだけに公正な実施と解釈が求められるとし、臨床研究の不正防止や社会的な信頼回復に向けて、研究者や研究機関、製薬企業、学会、行政に携わるそれぞれの関係者が起こすべき行動を提言した。

具体的には、研究者、研究機関および倫理審査委員会(IRB)に対し、プロセスの手順化と役割の分離独立の明確化、研究への疑義に対する信頼性確保のために措置を文書化することや記録の保存、積極的な情報開示や研究実施状況の定期的な追跡体制を確保するよう求めた。プロトコルや説明文書への研究資金源、利益相反(COI)の明記とその管理も要求。根本的な取り組みとして、各研究機関での実効性ある教育研修を確立し、実践するよう提言した。

学会に対しても、全ての関係者に研究の公正な実施に向け、研究倫理や信頼性保証に関する教育研修を求めた。

不正を未然に防ぎ、信頼できる研究成果を得るための組織的な体制を作ったり、研究不正に対応する調査・処分等を行うルール作りや学会に調査権限を持たせる規制を整備することを提言するなど、研究者の集まりとして自主規範を強化するよう要望した。

また、行政に対しては、米国の研究公正局(ORI)のような研究不正を防止する公的な組織体制を検討することを求めたほか、GCP省令が適用されない臨床研究の管理体制を再検討するよう提言した。

現在、GCPで規制されない臨床研究を行うに当たっては、倫理指針を遵守する必要があるが、行政指針であるために違反事例に対して罰則がないのが現状。提言は、こうした現行体制の見直しを含め再検討を求めたもの。

一方、バルサルタン臨床研究で社員の関与が問題となった製薬企業に対しては、臨床研究に関連する部門を営業販売部門から分離し、公正性を確保するよう要求。研究資金の透明化と文書化を実行するほか、終了した試験結果や研究への疑義に対して、信頼性調査を行った結果を積極的に開示するよう求めた。わが国で乏しい公的資金を補完するために、企業横断的な臨床試験支援基金を創設することも提言した。

 

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