ノバルティスファーマの降圧剤「バルサルタン」の臨床研究で、データが改ざんされた疑いがある問題をめぐり、田村憲久厚生労働相は16日の閣議後記者会見で、身分を隠してデータ解析に関わったとされる元社員への聞き取り調査実施に向け、ノバルティスに調査の協力を求めた。
この問題では、元教授が研究に携わった京都府立医科大学の調査で、データ操作が認められたものの、ノバルティスは担当していた社員がすでに退社しているとの理由で、京都府立医大による事情聴取への協力を断っていた経緯がある。
田村厚労相は、「データのねつ造、改ざんが強く示唆される調査結果で、意図的に何らかのことが行われた可能性がある」とした上で、「ここに関わった人の話が聞けないとなかなか難しい。退社したから話を聞けないというのではなく、会社側としても再度努力いただきたい」とした。
また、「今回のことをしっかり調査した上で、原因が何であったのかということを分析していくことが再発防止の一つの大きな役割になる。われわれとしても強い態度で事実解明ができるよう、努力していきたいと思っている」と述べ、新たに設置する大臣直轄の検討委員会で原因分析を行う考えを強調。
一方、「倫理指針をしっかり作って、二度とこのようなことが起こらないように一定の方向性を示していかないと、わが国で行われる研究は信用を置けないと思われてしまう」とし、再発防止に向けて「臨床研究に関する倫理指針」を見直す考えも示した。
国として創薬研究の推進などで医薬品の輸出を後押ししていく方針を打ち出す中、「水を差す話になっては困る」との懸念も示し、再発防止のための大臣直轄の検討委員会については、参院選後に早急に立ち上げたい方針も示した。