5遺伝子で成功
慶應義塾大学は7月16日、iPS細胞によらず、心筋様細胞を直接作製することに成功したと発表した。この研究成果はアメリカの科学雑誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」オンライン速報版で公開される。
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研究は心臓病のため心臓外科手術を受けた患者のヒト心臓繊維芽細胞に心筋誘導遺伝子を導入することで行われた。最初に3つの心筋誘導遺伝子を導入したところ、十分な心筋誘導は見られなかった。
しかしその後心筋細胞の誘導に重要と考えられる11種類の遺伝子を1つずつ加えた4遺伝子を導入した結果、「Myocd」あるいは「Mesp1」を導入した場合に、心筋細胞に特徴的な遺伝子の発現の上昇が見られた。さらに「Myocd」と「Mesp1」を同時に導入することで、効果がさらに強まることがわかった。
心臓病の新しい再生医療に期待
今回の作製成功によって今後期待されることとして発表では、
この方法は(1)心臓線維芽細胞から未分化な細胞を介さず心筋様細胞のみを作製するためがん化のリスクが少ない(2)生体内で直接心筋様細胞を作製するため細胞移植の必要がなくなる(3)心筋梗塞などの心臓障害後の線維化組織を心筋組織に戻すことができる、などこれまでの心臓再生の課題を解決できる可能性があり、心臓病に対する新しい再生医療につながることが期待されます。(慶應義塾大学発表記事より引用)
としている。(小林 周)
▼外部リンク
慶応義塾大学 発表記事
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2013/kr7a4300000