小児のインフルエンザ心筋炎
小児の場合は、軽症のインフルエンザ心筋炎が見逃されている可能性があるということが、大阪医科大学の浮村聡氏らが行った小児科におけるインフルエンザ心筋炎の意識調査で明らかとなり、成果については横浜で行われた第87回日本感染症学会で発表された。「特にパンデミック時には心筋炎合併例が増加すると考えられ、小児科医への注意喚起が必要である」と指摘している。
2009年に発生したパンデミック・インフルエンザの時は、浮村氏らが循環器専門医研修施設を対象に実施した全国調査で、インフルエンザ心筋炎は29例だった。その中で小児例は5例であった。 演者らは小児循環器診療施設512病院を対象として、インフルエンザ心筋炎の疫学調査ならびに医師の意識調査を行った。その結果疫学調査では286施設から、また意識調査では432人から回答が得られた。
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医師に対して注意喚起が必要
疫学調査では3シーズンで、心筋炎は15例の報告あった。その中で肺炎は176例、入院は2371。心筋炎15例中、12例が劇症型心筋炎で軽症例は3例であった。 その一方で医師の意識調査では、いくつか注目すべき結果が得られた。インフルエンザ心筋炎症例の経験について尋ねたところ、「経験がある」と回答は13.7%であった。また小児循環器医が常勤しているかとの質問には、「常勤している」が53.7%であった。
日常診療においてインフルエンザ罹患児を診察した場合に合併症として心筋炎も踏まえて診療を行うか尋ねた項目では、「全く想定していない」が6.7%、「重症例で想定」が68.1%、「入院例で想定」が12.6%となった。
この結果から演者らは、パンデミック時に心筋炎合併の増加が考えられるということから、小児科医に対してインフルエンザ心筋炎合併にも留意するよう注意喚起する必要があると述べている。(福田絵美子)
▼外部リンク
日本感染症学会
http://www.kansensho.or.jp