データ不正が認められず
日本高血圧学会は7月2日に会見を行い、日本高血圧学会の雑誌「Hypertension Research」に掲載されたVART(Valsartan Amlodipine Randomized Trial)に関する論文のデータを検証した結果、データを不正に操作した証拠は見つからなかったと発表した。
統計解析にバルサルタンを製造販売するノバルティス ファーマ社員が所属していることを明らかにせず、試験に関与していたことを受け、「臨床試験に関わる第三者委員会」が調査を行っていた。
VARTは、本態性高血圧患者に対しての効果をARBのバルサルタンとCa拮抗薬のアムロジピンで比較した試験である。約3,4年の追跡期間を通すことによって血圧には有意差が見られず、主要評価指標に設定した全死因死亡、突然死などの発生率にも差はなかった。ただ左室のリモデリングへの効果や、交感神経活性については、バルサルタンの方が改善は認められた。
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今回は調査の中間発表
VARTの結果については、達成収縮期血圧、達成拡張期血圧、標準偏差が一致していることも指摘されていた。またバルサルタンに関連する臨床研究の統計解析に、ノバルティス ファーマ社員が所属していることを明らかにせずに関与していたということが発覚し、第三者委員会が調査していた。
第三者委員会は最初に、論文の著者らへの聞き取りを行なった。その結果、ノバルティス ファーマ社員が関与したのは試験が終わって、データを固定した後と説明した。
具体的には、統計解析の手法や、グラフの作図方法などのアドバイスを受けていた。固定されたデータを第三者である企業に依頼したところ、血圧などの数値は論文の結果と一致した。
第三者委員会委員長の平井氏は「リスク比の信頼区間などに少し違いがあったが、調整項の違いなどによるものであり問題はない。少なくとも、バルサルタンに有利にしたような改ざんは認められなかった」と説明している。なお今回の発表は、あくまで中間発表ということである。(福田絵美子)
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