8月から前立腺がん患者を対象
富士フイルム株式会社(東京都港区)は7月3日、テーラーメイド型がんペプチドワクチン「ITK-1」の前立腺がんを対象とした国内第III相臨床試験を開始することを発表した。
(画像はwikiメディアより引用)
治験届を6月に提出、8月中に最初の患者への投与を予定している。
組み合わせペプチドワクチン
今回臨床試験を開始する「ITK-1」は、従来の1種のペプチドを用いたがんワクチンとは異なり、多くのがんで発現している12種のペプチドから、患者に適したペプチドを選択し、組み合わせて投与するテーラーメイド型。久留米大学医学部の伊東教授らが開発し、同大学のバイオベチャーである株式会社グリーンペプタイドから富士フイルムが導入した。久留米大学を中心として実施された第I相臨床試験では、一般に治療方法がないとされる「去勢抵抗性ドセタキセル治療抵抗性前立腺がん」に対する高い効果が確認されている。
がん細胞を攻撃する免疫系を誘導
がんの第4の治療法として期待されている「がん免疫(ワクチン)療法」。がん表面に発現するタンパク質の一部で免疫細胞が狙いやすい領域のペプチド(10個程度のアミノ酸で構成)を、がん細胞特異的ペプチド抗原として投与し、キラーT細胞等による細胞免疫や、抗体産生を誘導する。生体の免疫力でがん細胞を死滅させるため、副作用も少ないことから大きな期待が寄せられている。
がん患者によって、ターゲットとなる抗原ペプチドの発現に違いがあることはすでに周知であり、ITK-1は事前の血液検査によって患者に発現しているターゲットを選択し、より効果的に免疫誘導を仕掛けるものだ。
医薬品業界への本格参入を果たした富士フイルムでは、アンメットメディカルニーズの高いがんを重点領域としてとらえ、革新的な医薬品開発に取り組むとしている。
▼外部リンク
富士フイルムプレスリリース
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/