Society for Maternal-Fetal Medicine(母性胎児医学会)の発表で、妊娠の状況はその後の女性の健康状態を予測する手がかりになることが分かりました。
アメリカのCDC(中央疾病管理局)の発表では、成人の2人に1人が、心臓病、糖尿病などといった何らかの慢性病を抱えており、大人の死因の7割で原因となっているそうです。アメリカに限らず、現在世界各国で、慢性病の予防は、社会全体の課題とされています。
近年、女性の心臓病や糖尿病は増加する傾向にあり、適切なスクリーニング、早期発見と治療が大切だとされていますが、これは当然妊娠中の女性にも言えることです。妊娠中に肥満や糖尿病にかかった女性では、その後の人生で肥満や糖尿病にかかるリスクが高くなるという報告もあるのです。
また、妊娠すると血液の循環に変化が起こることから、循環器系のトラブルが現れることがあります。これは言い換えれば、心臓などの機能がどのくらいの変化に耐えられるかを、観察する機会にもなるとも考えることが出来るそうです。
さらにアメリカのケースでは、出産に関する保険でカバーされる産後6週間が過ぎると、必要な慢性病の治療を打ち切ってしまう人も問題になっているそうです。調査チームでは、産婦人科医と、妊娠前からのかかりつけ医が連携を取って、女性の健康管理を長期的に行うことが大切だとしています。
このように、妊娠中に身体がどのような反応を示すかは、その女性の将来の健康の予測材料になります。今回の調査で、妊娠中の合併症が将来の健康の指標となることが明らかになったことは、女性の慢性病の予防に大いに役立てることが出来るそうです。出産が終われば当然育児が待っています。子どもの成長を見守るためにも、妊娠中からの健康管理をしっかりと行いましょう。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Pregnancy as a Window to Future Health
https://www.smfm.org/default.cfm