公益社団法人への移行を機に、現執行部では学生会員の積極的な獲得を目指しており、当初、各都道府県薬剤師会経由で入会等の手続きを行う予定だったが、最終的に当面、日薬が直接、会費徴収等の事務を行うことになった。このほか、定款を一部改正し「会計監査人」を設置することになり、永島公朗氏(東銀座監査法人)を選任した。
ネット販売解禁問題に関し東京の高橋正夫氏が、「ドラッグストア業界がルール作りに踏み切るというが、連携はどうなったのか」と質した。担当の生出泉太郎副会長は「職能団体と業態団体との違いだと思っている」と述べるにとどめた。さらに生出氏は、「ネットが蔓延すれば価格競争になる。問題は責任の所在。現に店舗を持つ薬局が責任を持って販売する仕組みであり、認定証などある程度のシステム作りが必要」と、ネット流通を前提に、国のルール作りに先立ち、日薬なりの対応策を検討するとした。
静岡県の明石文吾氏は「今は全てインターネット優先に流れる方向にある。動向を注視するというが見守っているだけでいいのか」と迫った。児玉氏は「まかり間違っても最低限、医療用に行かないようにやっていきたい」とし、バーチャル薬局、医療用医薬品のネット流通等は阻止したい考えを示すと共に、広く医療ビジネスという括りの中で、特に日本医師会を念頭に「他団体としっかり共同歩調をとっていきたい」とした。
東京の上村直樹氏は、「ネット販売推進派はプロ集団で理論武装していた。日薬などは、そういうことに取り組んだのか」と厚生労働省検討会への取り組み体制への疑念を示した。生出氏は外部の力を取り入れたとし、「今年1月には土俵際まで追い込まれたが、かなり押し戻し、最後はネットは危険だという認識が広がったと理解している」とした上で、「役員だけでは難しい」とし“プロ集団”の必要性を認めた。
一方、薬剤師年金については、昨年度新規入会61人に対し退会が633人に及び、直近の加入者3031人に対し受給者が7489人であることを生出氏が報告。また、次期繰越不足金が214億円に達しており、保険料を引き上げると共に支払い額の圧縮等により、「20年間で健全化する」と説明したが、大分県の副千秋氏は「健全化計画とは思えない」と指摘した。
神奈川県の相田邦彦氏は、「1年以内に存続すべきかやめるべきか方向性を決める」ことを執行部に求め、緊急動議を提出した。動議は認められたが、最終的には過半数の賛成を獲得できず否決されたが、多くの代議員が“年金”が本予算に組み込まれたことへ懸念、不安を抱いていることがうかがえた。
会議終了後の会見で生出氏は「1年を待たず、7~8月が鍵になる。ネット問題で頓挫していたが、厚労省医薬食品局と相談する」とし、医師会等関連団体と情報交換しつつ、今後の年金の方向性を早急に検討する意向を示した。