京都大学附属病院で治療開始
三菱重工業株式会社(東京都港区)は、京都大学医学部附属病院(京都府京都市)で追尾照射機能搭載の放射線治療装置Vero4DRT(販売名:線形加速器システムMHI-TM2000)による膵臓がんへの動体追尾強度変調放射線治療(動体追尾IMRT)開始されたことを、6月28日発表した。
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リアルタイムモニタリングによる膵臓がんへの動体追尾IMRT治療の実施は世界初。
放射線治療の最前線
がんの放射線治療は、体内のがん病巣だけに十分な放射線を照射すること、同時に周辺の性状組織への影響をできるだけ低くすることを目的に、発展を続けている。
IMRTは、照射箇所の線量分布の強度を変調させ、多方面から照射することで、複雑な癌の形状に合わせた高い線量領域を設定できる。また、周辺の正常組織には線量を低くすることができ、前立腺がんや頭頸部のがんなどに効果を上げている革新的な治療法であるが、肺、肝臓、膵臓等の臓器は、呼吸により臓器が揺れ動くため、高い照射制度が必要なIMRTは応用できないとされてきた。
世界初、膵臓がん治療へ
Vero4DRTは、同社の画像処理技術を駆使し、呼吸等により揺れ動く病巣をリアルタイムに追尾、ターゲットの病巣をピンポイントで連続照射することができる。
今回、これまで不可能だった膵臓がんへのIMRT治療が実現し、放射線治療における大きな技術革新となった。この動体追尾システムを装備した放射線治療法は、治療中も患者は自由に呼吸することができ、正常組織への副作用を減らすだけでなく、患者や医療スタッフ双方の負担を大きく軽減できるとしている。
同社では、先進的治療法への期待に応えるため、今後さらにこのシステムの普及を目指している。(長澤 直)
▼外部リンク
三菱重工プレスリリース
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