原因不明脳梗塞
東北大学の研究グループが大動脈の硬化に伴う脳梗塞の発症メカニズムを解明した。心臓拡張期に大動脈内で逆行性の血流が存在し大動脈の硬化にしたがってこの逆流が増加することを発見した。
脳内の太い動脈が閉塞して起こる脳梗塞は、脳主幹動脈や頸動脈内の粥腫(動脈硬化性プラーク)、心房内の血栓などが原因で発症する。なかには発症の原因がわからない場合も多く、原因不明脳梗塞と診断されている。
逆行性の大動脈血流
研究グループは高血圧患者の胸部下行大動脈の血流を測定した。記録した血流波形から、心臓の拡張期に下行大動脈から頸動脈へ向かって血液が逆行性に流出する、逆流の現象を発見した。大動脈が硬化すると、大動脈内の逆流の比率が増加することもわかった。
脳卒中患者の約20%の大動脈内に不安定なプラークが存在することから、大動脈内逆流でプラークが破綻・遊離して頸動脈、脳内動脈に流出した場合、プラークや血栓が脳動脈内へ運ばれ逆行性脳塞栓を引き起こす可能性がある。
今回の研究で、大動脈の血圧ばかりではなく、大動脈の血流も脳卒中の発症機序に関与すると考えられる。研究成果は米国心臓協会雑誌Hypertensionオンライン版で公開され、2013年9月号に掲載される。(馬野鈴草)
▼外部リンク
東北大学プレスリリース
http://www.tohoku.ac.jp/
Hypertension
http://hyper.ahajournals.org/