医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > プレミアム > 医療用医薬品の流通改善に関する懇談会、3月末妥結率が過去最低―チェーン薬局で5割切る

医療用医薬品の流通改善に関する懇談会、3月末妥結率が過去最低―チェーン薬局で5割切る

読了時間:約 1分57秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2013年07月01日 AM09:42

厚生労働省は6月27日、昨年度の医療用医薬品の納入価格妥結状況を調査した結果を、「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」に報告した。3月取引分の妥結率は過去最低の81・5%で、特に20店舗以上のチェーン薬局が49・1%と突出して低かった。単品単価取引の割合は200床以上の医療機関、チェーン薬局で約6割に拡大したが、価格交渉が難航した結果、妥結率が低下したと考えられた。原徳壽医政局長は「チェーン薬局で妥結率が5割を切るのは憂慮すべき事態」と懸念を表明。「薬価基準制度を維持していくためにも、しっかり商取引を行ってもらいたい」と注文をつけた。

■単品単価取引は拡大傾向

調査は、日本医薬品卸業連合会に加盟する52社を対象に実施し、今年3月の取引高における妥結状況(薬価ベース)を調べた。妥結状況を見ると、病院は84・5%、診療所は97・1%、医療機関全体では89・2%だった一方、保険薬局は20店舗以上のチェーン薬局で49・1%と非常に低く、その他の薬局は84・4%、全体も75・2%にとどまった。

特にチェーン薬局は、前回薬価改定1年目の11年3月の92・3%に比べて半数程度しか妥結しておらず、厚労省医政局経済課は「このまま推移すれば、(今年実施される)薬価調査の信頼性に支障を与えかねない」と懸念を示した。

ただ、総価取引の状況を見ると、単品単価取引の割合が200床以上の病院で昨年度51・9%から61・4%、チェーン薬局で昨年度37・2%から62・2%と6割台に拡大し、妥結率は低いものの、製品価値に見合った取引が大幅に増加していることが分かった。

薬卸連と日本保険薬局協会(NPhA)のワーキングチームの取り組みも報告された。薬卸連とNPhA傘下企業の昨年10月~今年3月の取引基本契約書に基づく覚書の締結状況を見ると、本覚書の締結率は取引数ベースで薬卸連が15・5%、NPhAが16・1%と低い状況にとどまった。

ただ、単品単価取引の割合は、取引数ベースで10年度の52%から12年度は98%、取引金額ベースでも57%から99・9%と大幅に増えた。薬価基準制度への理解度が深まり、これまでの商慣習の根本的な見直しが進んだ結果、単品単価取引が進んだものの、価格交渉が難航したものと考えられた。厚労省は、今後の方向として、医療保険制度の意義を確認しつつ、経済合理性に基づく取引の徹底を求めた。

今回の結果について、三村優美子委員(青山学院大学)は「妥結率は厳しい結果となったが、単品単価取引の原則を守る中で、薬価基準制度への理解が浸透し始めたことは評価したい」と前向きに評価した。

嶋口充輝座長(慶應義塾大学)は「一定の改善は見られたが、妥結の長期化が大きな課題。薬卸連とNPhAのワーキングチームの努力は評価できるが、結果的にもう一歩成果が見えていない」と総括し、早期妥結を促した。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 プレミアム 行政・経営

  • 【PMDA】コロナ薬投与で注意喚起-妊娠可能性ある女性に
  • 【薬価部会】不採算品再算定、対象絞り込みを-25年度中間年改定
  • 【厚労省調査】敷地内薬局、専門連携の1割-処方箋集中率は93.1%
  • 【臨試協調査】外資が日本を第I相拠点に-国内実施のメリット認識か
  • 【NPhA】半数以上が後発品を選択-長期品選定療養に一定効果