■単品単価取引は拡大傾向
調査は、日本医薬品卸業連合会に加盟する52社を対象に実施し、今年3月の取引高における妥結状況(薬価ベース)を調べた。妥結状況を見ると、病院は84・5%、診療所は97・1%、医療機関全体では89・2%だった一方、保険薬局は20店舗以上のチェーン薬局で49・1%と非常に低く、その他の薬局は84・4%、全体も75・2%にとどまった。
特にチェーン薬局は、前回薬価改定1年目の11年3月の92・3%に比べて半数程度しか妥結しておらず、厚労省医政局経済課は「このまま推移すれば、(今年実施される)薬価調査の信頼性に支障を与えかねない」と懸念を示した。
ただ、総価取引の状況を見ると、単品単価取引の割合が200床以上の病院で昨年度51・9%から61・4%、チェーン薬局で昨年度37・2%から62・2%と6割台に拡大し、妥結率は低いものの、製品価値に見合った取引が大幅に増加していることが分かった。
薬卸連と日本保険薬局協会(NPhA)のワーキングチームの取り組みも報告された。薬卸連とNPhA傘下企業の昨年10月~今年3月の取引基本契約書に基づく覚書の締結状況を見ると、本覚書の締結率は取引数ベースで薬卸連が15・5%、NPhAが16・1%と低い状況にとどまった。
ただ、単品単価取引の割合は、取引数ベースで10年度の52%から12年度は98%、取引金額ベースでも57%から99・9%と大幅に増えた。薬価基準制度への理解度が深まり、これまでの商慣習の根本的な見直しが進んだ結果、単品単価取引が進んだものの、価格交渉が難航したものと考えられた。厚労省は、今後の方向として、医療保険制度の意義を確認しつつ、経済合理性に基づく取引の徹底を求めた。
今回の結果について、三村優美子委員(青山学院大学)は「妥結率は厳しい結果となったが、単品単価取引の原則を守る中で、薬価基準制度への理解が浸透し始めたことは評価したい」と前向きに評価した。
嶋口充輝座長(慶應義塾大学)は「一定の改善は見られたが、妥結の長期化が大きな課題。薬卸連とNPhAのワーキングチームの努力は評価できるが、結果的にもう一歩成果が見えていない」と総括し、早期妥結を促した。