トリプルネガティブ乳がん
エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2の3つの受容体と関係せずに発症、増殖するのがトリプルネガティブ乳がんであり、予後が悪いことで知られている。エストロゲン受容体とはコレステロールから合成されるステロイドホルモンで、女性ホルモン又は卵胞ホルモンと呼ばれ、プロゲステロン受容体もステロイドホルモンであり、黄体ホルモンと呼ばれている。HER2は細胞の増殖や分化に関与する。トリプルネガティブは乳がん全体のおよそ2割近くを占めている。トリプルネガティブの場合には、受容体を標的とするハーセプチンやタモキシフェンといった従来の薬剤は使えない。
(画像はウィキメディアより)
アステラス第2相試験開始
アステラスは、米国メディベーション社と共同で開発を進めているエンザルタミドについて、アンドロゲン受容体陽性のトリプルネガティブ進行再発乳がん患者を対象とした第2相臨床試験の患者組入れを開始した。
本試験は、多施設共同、非盲検試験で、米国、カナダ及び欧州の施設において、アンドロゲン受容体陽性のトリプルネガティブ乳がん患者 約80名の組入れを予定し、エンザルタミド単剤療法の有用性について評価する。すべての患者にエンザルタミド160 mgを1日1回経口投与することとしている。主要評価項目は、完全奏効、部分奏効又は16週以上の安定を示した患者の割合である。
現在、トリプルネガティブ乳がんを標的とした既承認薬は存在しないので、本薬剤は、トリプルネガティブ乳がん患者の治療にとって画期的である。(堤朝子)
▼外部リンク
アステラス ニュースリリース2013年6月27日
http://www.astellas.com/jp/