妊娠中の鉄不足は、早産や低出生体重(赤ちゃんの生まれたときの体重が軽すぎること)の原因になると言われるため、妊娠中は意識的に鉄分を摂るようにと呼びかけられています。
日本人の鉄分の摂取は、厚生労働省によると、20代の妊婦さんで推奨21ミリグラム、30代からは21.5ミリグラム。妊娠していないときに比べてプラス15ミリグラムです。上限は40ミリグラムとされています。一方、WHOでは妊婦さんには、日本の基準をぐっと上回る1日60ミリグラム、上限66ミリグラムの鉄分を推奨しています。
鉄不足が生まれてくる赤ちゃんに、悪影響を及ぼすことは知られていましたが、実際に鉄分を摂ると、どのように悪影響から遠ざかることが出来るのかを、科学的に証明した調査は、実はあまり行われていなかったそうです。
今回は、アメリカとイギリスで行われた、妊婦さんの鉄分摂取に対する90件の調査データ、のべ200万人分を再分析して、妊娠中に鉄分を摂るメリットについてが徹底的に調べられました。
すると、1日の摂取量を10ミリグラムアップするごとに、
貧血リスクが12%ダウン
生まれてくる赤ちゃんの出生体重が15グラムアップ
低出廷体重リスクが3%ダウン
という結果が出ました。
このことから、妊娠初期と中期で貧血があって、一度は早産や低出生体重のリスクがアップした人でも、鉄を取ると低出生体重のリスクを再び引き下げることが分かりました。(早産リスクは鉄分を摂っても変らなかったそうです。)
妊娠したら、鉄分15ミリグラムをこれまでの食生活に追加する必要があります。例えばポークレバーなら約100グラム。妊娠中の貧血は、氷をやたらと食べたくなって判明することも多いそうですので、こうしたサインにも注意しながら、鉄分の補給を行いましょう。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Daily iron during pregnancy linked to improved birth weight
http://www.bmj.com/press-releases/2013/06/19/
鉄の食事摂取基準
http://vitamine.jp/minera/tetu00.html
CRAVING FOR ICE AND IRON-DEFICIENCY ANEMIA: A Case Series from Oman
http://informahealthcare.com/doi/abs/10.1080/