ビタミンDには、骨のカルシウム吸収を助ける働きと、免疫力を高める働きの二つがあります。ビタミンDは、卵の黄身、鯖やサーモン、鰯など脂分の多い魚など食品から取り入れることも出来ますし、紫外線を浴びることで皮膚でも作り出されます。
ビタミンDが不足すると、いわゆる「抵抗力が落ちた」状態になります。一方、季節の変わり目には、体調を崩す人も多く、これも「抵抗力が落ちた」からだという会話が日常的に交わされています。
この「抵抗力が落ちた」という言葉をヒントに、ビタミンDと季節に関連する病気の関連性を調べた報告が発表されました。研究チームでは、季節により抵抗力が変化するのは、ビタミンDが変化するからではないかという仮説を立てました。
この仮説を確かめるために、血中のビタミンDの目安になる物質を調べたところ、紫外線量の最も多い8月には身体の中のビタミンDが最も多く、紫外線量の少ない2月にはビタミンDの量も低下していることが分かりました。
2月と言えばインフルエンザが流行る時期。風邪やインフルエンザの予防にビタミンDが効果的という報告もされているので、関連性があるというのは、納得出来る話です。
これまで、季節によって、かかる人が増える風邪などの病気は、気温や湿度などウィルスや細菌が生き残って活動する要素に注目が集まっていましたが、ヒトの身体の仕組みとしても、抵抗力が下がって病気にかかりやすくなる季節があることが分かったのです。
ビタミンDの季節による変化は、単純にビタミンDの処方を季節によって調節するということも出来ます。また、今後季節に伴う健康管理の面で、様々な調査が行われることが期待されています。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Vitamin D (25OHD) Serum Seasonality in the United States
http://www.plosone.org/article/
Randomized trial of vitamin D supplementation to prevent seasonal influenza A in schoolchildren.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/