善玉菌、悪玉菌という表現は、これまで腸の中の菌に対して使われてきました。ところが、目にも善玉菌と悪玉菌があるようなのです。
目の感染症は、時には失明を引き起こすこともあります。細菌に対しては、抗生物質による治療が行われますが、近年では、抗生物質が効かない耐性菌が出来てしまうことが問題になっていました。目の病気や治療に関する研究が進むうちに、これまで明らかにされていなかった仕組みが明らかになりました。
細菌性結膜炎の原因菌でもある、セラチア菌と緑膿菌が、他の細菌によって退治されることが分かったのです。私たちの、角膜上皮にある常にある2種類の菌が、どうやら善玉菌として働いているようです。
善玉菌という呼び方は、健康に良い影響を引き起こす菌につけられた呼び名ですが、目の善玉菌候補が、困った感染症状を引き起こすかも、ヒトの目の細胞でテストすると、そういった症状は起こらないことが分かりました。
更に、微生物を使っての実験で善玉菌の安全性を確認しました。微生物に善玉菌を注入すると、11日後も9割以上が生きていました。ところが、同じ微生物に悪玉菌を注入すると、その微生物は死んでしまいました。このことから、善玉菌は生物に害を与えないことが証明されたのです。
おそらく、この善玉菌のおかげで、私たちが知らないところで、目の感染症状が抑えられていることも多いのでしょう。ヒトの身体の中に、このような菌が存在することは、様々な医療の分野に役立てることが出来るそうです。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
An Eye to a Kill: Using Predatory Bacteria to Control Gram-Negative Pathogens Associated with Ocular Infections
http://www.plosone.org/article/