医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > プレミアム > 厚生労働省・集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証および再発防止に関する検討会、B型肝炎再発防止策まとまる―医療従事者の研修など提言

厚生労働省・集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証および再発防止に関する検討会、B型肝炎再発防止策まとまる―医療従事者の研修など提言

読了時間:約 1分47秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2013年06月21日 AM09:51

厚生労働省の「集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証および再発防止に関する検討会」は18日、注射器の使い回しなどによるウイルス感染の再発防止策を盛り込んだ報告書をまとめた。予防接種に関する国内外の最新の知見を収集し、自治体や医療従事者間で情報を共有する必要性を指摘。具体策の一つに、医療従事者を対象とした研修の実施を挙げた。再発防止策を検討する第3者組織の設置については、両論併記となり今後の検討課題とした。提言を受けて厚労省は、体制の充実に必要な予算要求を行う。

報告書では、欧米などでは注射器の連続使用の危険性が指摘されていたにも関わらず、対策が後手に回った要因について、「予防接種に関する先進知見の収集・分析・評価・伝達等を行うための国の体制が不十分だった」と分析。

その上で、「これまでの組織・体制の問題点を洗い出し、十分な改善策を講じることが求められる」とし、再発防止に向け、被害情報や知見を収集する体制を充実させ、リスク認識を適宜に更新するよう求めた。

具体的には、国の予防接種を担当する部署の体制充実や、サーベイランス・検査等に関する国立感染症研究所や地方衛生研究所との連携強化、健康被害リスクの認識・管理・対応の役割を担う厚生科学審議会の予防接種制度評価・検討組織の充実などを挙げた。

また、「国や自治体、医療関係団体は、医療従事者が予防接種の効果や安全性の確保に関する知見を確実に身につけ、その後も刷新し続けることができる環境を整えることが望まれる」とし、医療従事者を対象とした研修の実施なども求めた。

B型肝炎患者らが求めていた再発防止策を実現するための組織については、予防接種行政にとどまらず、厚生行政に関する情報の収集・分析、リスクの管理・対応の役割を担う観点から、政策推進部門との過程で生じる生命健康被害等の問題の監視・是正部門とを分離独立した国家行政組織法第3条の行政機関を設置すべきとの意見があったことを明記した。

一方、独立性を担保するために組織を分離すると、縦割りの弊害も可能性として存在し、必ずしも政策推進部門と監視・是正部門とを分離することが望ましいとは言えず、「第8条の審議会等による第三者組織の設置を目指すべきとの意見もあった」とし、両論を併記。その上で、「これらの議論を踏まえ、組織のあり方の議論を続ける機会や場を設ける必要がある」とするに止めた。

提言書を受け、厚労省の矢島鉄也健康局長は、「同様の事態を二度と引き起こさないよう、必要な予算や定員要求をしたい」と述べ、体制の強化を進めたい考えを示した。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 プレミアム 行政・経営

  • 【PMDA】コロナ薬投与で注意喚起-妊娠可能性ある女性に
  • 【薬価部会】不採算品再算定、対象絞り込みを-25年度中間年改定
  • 【厚労省調査】敷地内薬局、専門連携の1割-処方箋集中率は93.1%
  • 【臨試協調査】外資が日本を第I相拠点に-国内実施のメリット認識か
  • 【NPhA】半数以上が後発品を選択-長期品選定療養に一定効果