注意欠陥・多動性障害
注意欠陥・多動性障害とは、不注意、多動性、衝動性を主症状とする障害で、7歳未満の幼児期から起こりはじめる。全児童数の3%を占めるともいわれる。具体的な症状は、集中することができず、必要なものをなくしたり、話しかけても聞いていないなど、不注意な態度が目立つ、手足をしじゅうそわそわ動かしていたり、座っていなければならないときに席を立って走り回る(多動性)、他人の会話や遊びを妨害する、順番を待てない(衝動性)などがみられる。
発症のメカニズムはまだはっきりとは解明されていないが、抑制にかかわる脳の機能がなんらかの原因によりうまく働いていないのではないかと思われる。本疾患の要因の1つに、鎮痛、催眠、精神安定などに作用する脳内伝達物質セロトニンの不足が指摘されている。また、亜鉛も指摘されている。さらに神経の興奮を抑えるカルシウムも同様に指摘されている。なお、チョコレートなどの甘いもののとりすぎ、あるいは合成着色料などの食品添加物が症状を悪化させるという実験結果が数多くあり、こうしたものを避けるべきである。
(画像はウィキメディア)
アンケート
日本イーライリリーは、全国で18歳以上の男女100名の注意欠陥/多動性障害当事者を対象としたインターネット調査を実施した。同時に、6都道府県11施設の発達障害者支援センターへのアンケートも実施した。
その結果、7割以上の成人期患者が、様々な場面で困難を抱えていると回答し、日常生活において最も困っていることは、「感情のコントロールができない」が32.0%で、人間関係は「周囲から孤立してしまう」が41.0%、就労においては「業務を遂行することが困難」が35.4%という回答であった。また、「周囲の人から認められ、理解されている」「自分らしく生き生きと日々を過ごせている」と回答したのは、12.0%と非常に低かった。成人の場合、子供よりも社会に接する機会が多いため、より複雑になっていることがうかがえる。(堤朝子)
▼外部リンク
イーライリリー ニュースリリース2013年6月12日
https://www.lilly.co.jp/