抗VEGFヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブ
中外製薬株式会社(東京都中央区)は6月14日、同社が販売している抗VEGFヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブ(遺伝子組換え)、販売名「アバスチン(R)点滴静注用100mg / 4ml、400mg / 16mlについて、厚生労働省から「悪性神経膠腫(グリオーマ)」に対する効能・効果、用法・用量追加の製造販売承認を取得したと発表した。
(画像はwikiメディアより引用)
これにより、アバスチン(R)は希少疾病用医薬品指定となる。
腫瘍への血管新生を阻害
アバスチン(R)は、腫瘍の増殖や転移に必要な血管新生において重要な血管内皮細胞増殖因子VEGFに特異的に結合し、その作用を阻害する抗体医薬品。
腫瘍は血管から栄養を取って大きくなるため、この血管新生を止めることで、癌の増殖を抑える。
アバスチン(R)は、現在国内では進行期の大腸がん、結腸がん、非小細胞肺がん、再発乳がんを対象としているが、欧米では腎がんや卵巣がんに加え、前治療後の再発膠芽腫の治療薬としては、60ヵ国で承認されている。
悪性度が高いグリオーマに効果
神経膠腫(グリオーマ)は、脳と脊髄にある神経細胞や神経繊維を支える神経膠細胞から発生する腫瘍。
脳から発生する腫瘍の約25%を占め、外科的切除が困難なことから、臨床的にはすべて悪性脳腫瘍に分類される。
国内外の試験結果で承認
今回の承認は、以下の3つの試験に基づいている。
1.テモゾロミドおよび放射線療法施行後に再発した膠芽腫の患者と対象としたアメリカでの第II相試験(BRAIN試験)
2.再発した悪性神経膠腫患者へアバスチン(R)単剤投与した国内第II相試験(JO22506試験)
3.再発した悪性神経膠腫患者への放射線照射・テモゾロミド・アバスチン(R)併用での国際共同第III相ランダム化プラセボ対照比較試験(AVAglio試験)
これらの試験では、奏効率、無憎悪生存率ともにこれまで報告されている成績を上回っている。
また、安全性も、これまでアバスチン(R)で報告されている範囲内のものであり、認容性も確認された。
悪性度が高く、予後不良の神経膠腫に対して、アバスチン(R)が新たな選択肢となり、治療に貢献すると期待できる。(長澤 直)
▼外部リンク
中外製薬株式会社プレスリリース
http://www.chugai-pharm.co.jp/l