鉄分をコントロールして血管新生を阻害
岡山大学の研究グループはがんの鉄分をコントロールして血管新生を阻害する新しいがんの治療法を開発した。発がんの原因の一つに挙げられる鉄を使ってがんを追い込むことはこれまでにない発想といえる。
がんは鉄分が減ると増殖の速度が抑制される。がんとしては追い込まれた状態であり、その状況に対抗して血管を新たに引き込もうとすることがわかった。この防御機構を利用して鉄量を人為的にコントロール(除鉄)すれば、がんを追い込まれた状態に誘導し血管新生阻害薬で治療することができる。
抗がん剤の効果を高める
抗がん剤は次々に開発されるががんの根治には至っていない。今回発見した治療法はがんの防御機構を逆手にとったもので、抗がん剤が効力を発揮しなかったがんに対しても治療効果が期待できる。また血管新生阻害作用を有する抗がん剤に除鉄を応用することで効果を高めていける可能性がある。
がんを追い込む治療を行いながら生活を送るというがん患者のライフスタイルが新たな形をとることも考えられる。研究成果は国際バイオ展「BIO tech 2013」で注目を集め、他大学との連携研究も進んでいる。(馬野鈴草)
▼外部リンク
岡山大学プレスリリース
http://www.okayama-u.ac.jp/