最適な抗がん剤選択用
凸版印刷株式会社(東京都千代田区)は、6月12日、株式会社ジェネシス(神奈川県横浜市)と共同で、新たな遺伝子解析システムを開発したと発表した。
(画像はwikiメディアより引用)
大腸がんの治療における分子標的薬の効果を左右するKRAS遺伝子の体細胞変異を、迅速・簡便に検出できるという。
分指標的薬の効果を予測
分子標的薬セツキシマブ・パニツムマブは、がん細胞表面にある上皮細胞増殖因子EGFの受容体と結合して効果を発揮する。
これら分子標的薬はモノクローナル抗体で、抗体依存性細胞障害ADCCなどの抗腫瘍効果が期待されるが、しかし、KRASに変異があると、これら分子標的薬への反応が低いことが分かっており、抗がん剤の選択にあたり、KRAS変異について確認することになっている。
血液100マイクロリットル、90分で検査可能
これまで、KRASの変異を確認するまでには約2週間かかっていたが、このシステムを用いると血液100マイクロリットルから全自動で90分後に遺伝子多型を検査できる。
これにより迅速に治療方針が決定でき、この低侵襲かつ高機能のシステムは大腸がん患者のQOLに寄与するとしている。
年度内に研究用で国内販売、欧州販売へ
このKRAS遺伝子変異解析システムは、研究用途で2013年度中に販売を開始、CEマークを貼付して欧州での販売を目指す。
研究グループでは、すでに、2011年には経口抗血液凝固剤であるワルファリンの適正投与量予測を目的とした遺伝子多型検査システムを薬事申請している。
分子標的薬が増える情勢の中、このような治療を迅速にサポートする検査システムが望まれている。(長澤 直)
▼外部リンク
凸版印刷株式会社プレスリリース
http://www.toppan.co.jp/news
株式会社理研ジェネシス
http://www.rikengenesis.jp/