後発品の品質確保の取り組みについては、5月15日の中医協総会で、委員から具体例を示すよう提案があった。参考人として出席した沢井製薬の岩佐孝常務取締役が、後発品の承認取得に向けた生物学的同等性試験や再評価を実施している品質保証体制を説明。明治薬科大学の緒方宏泰名誉教授も参考人として出席し、製剤の違いによる効果や作用の変化など、後発品の有効性・安全性について考え方を述べた。
緒方氏は、先発品から後発品に切り替えた場合に、効果の変化や副作用が発現するケースが認められる要因として、効果・作用そのものの変化や病態の変化などを挙げたが、「現状では要因を比較できるデータがない」と課題を指摘した。
これに対し、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は「後発品の品質確保の取り組みについて、メーカーから説明してもらうことには疑問がある。本質的には厚生労働省が先発品と品質が同等であることを国民に訴えるべき」と主張。さらに、血中濃度が先発品と同等でありながら、添加物が複合しているために薬効が発揮されない後発品が見られるとし、こうした事例の検討を提案した。
万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)は、「品質をめぐる医師と専門家の認識には、お互い溝があり、いつまでも議論は平行線である」と指摘。「血中濃度だけで製剤的に同等というのではなく、現場医師の経験値もデータとして集めて議論することで歩み寄りが必要ではないか」と提言した。
現場医師の後発品に関する経験値をどうデータとして収集できるか、次回以降の部会で議論する。
一方、矢内邦夫委員(全国健康保険協会東京支部長)は、後発品薬価について「価格帯が多すぎる」と苦言を呈し、「同じ生物学的同等性が担保されている後発品なのに、価格帯が広がっている状況でいいのか」と問題提起した。
その上で、「ある程度、品目と価格が絞られていかないと、臨床現場と患者に理解が得られないのではないか」と述べ、「次期薬価制度改革で、さらに価格帯を絞り込む工夫ができないか検討が必要」との考えを主張した。
三浦洋嗣委員(日本薬剤師会副会長)も「同一成分の品目が多すぎて、薬局や医療機関で採用する際に、どの品目を選べばいいか分からない」と同一成分の品目乱立に疑問を呈し、後発品薬価のあり方を含めた議論を求めた。