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動脈硬化症のリスクは予測できるか

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2013年06月12日 PM08:13

動脈硬化症の制圧には炎症の制圧

横浜市立大学は愛媛大学との共同研究で動脈硬化症患者の血清中に複数の自己抗体が存在し、抗IL(インターロイキン)5抗体が高値であることを明らかにした。

(画像はWikiコモンズより)

動脈硬化症は生活習慣病の終末像で心筋梗塞、脳梗塞の原因となる。ところが生活習慣病治療薬だけでは心血管イベント抑制効果に限界(天井効果)がある。この残存リスクを解消するため動脈硬化症の成因に基づく新たな治療アプローチが求められている。

近年、動脈硬化症の成因として“炎症”説が支持されるようになった。同症を呈する動脈壁、特に内皮細胞直下の内膜にリンパ球、マクロファージなどの炎症性細胞が多く認められ、炎症性マーカーのC反応性タンパクと同症の関連も報告されている。ところが肝心の炎症をもたらすメカニズムは不明だった。

動脈硬化症は自己免疫疾患

今回横浜市立大学は、愛媛大学が持つ特殊なタンパク合成技術を使い、約2000種類の合成タンパク質と患者のプール血清を反応させて、ヒトγグロブリンIgGを検出した(アッセイ法)。解析の結果19種類のタンパク質を同定、さらにTh2 サイトカインである IL5に着目した。閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患PAD)、冠状動脈硬化症(CAD)患者の抗分泌型IL5抗体価は健常成人と比較すると高値、また患者血中の自己抗体はIL5の働きを抑制する可能性が示された。

さらに、動脈硬化症の自己抗体は代表的な自己免疫疾患である慢性関節性リウマチのそれと比べて全く異なっていた。よって動脈硬化症が特異的な自己抗体をもつ自己免疫疾患であり、同症の炎症には自己抗体を介する自己免疫的機序が関与すると理解できた。

アッセイ法の応用でハイリスク患者の自己抗体プロフィルがわかれば治療の個別化につながり、抗IL5抗体を新規バイオマーカーとすれば成因とリスクを同時に評価できると期待される。(馬野鈴草)

▼外部リンク

横浜市立大学プレスリリース
http://www.yokohama-cu.ac.jp/

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