厚生労働省と農林水産省は、漢方薬や生薬製剤に用いられる薬用植物の国内栽培拡大に向け、生産農家と漢方薬メーカーのマッチングに乗り出す。一般的な取引市場がない薬用植物は、メーカーと生産農家との契約栽培で生産されるケースが多いため、両者がお互いのニーズや情報などを共有できるよう、メーカーや薬用植物園を持っている自治体、生産者団体などを対象にした説明会を全国で開く予定。
薬用植物の多くは、中国など海外からの輸入に頼っているが、中国国内では経済成長に伴ってその需要が急速に伸びている一方、日本国内では高齢化などを背景に漢方薬の需要が増える傾向にあるなど、需給のバランスに問題が生じる懸念がある。
農水省では、漢方・生薬製剤の安定供給を図るため、国内での薬用植物の生産拡大に積極的な姿勢を示しており、一部の地域では、栽培環境が似ている葉タバコの転作作物として薬用植物の栽培を進めている。
漢方薬メーカーも国内調達を拡大させたい考えで、厚労省医政局経済課と研究開発振興課、農水省生産局農産部地域作物課は、課長らで構成する情報交換会を非公式で開催し、国産薬用植物の拡大を図るための方策を検討してきた。
6月までに3回目の会合を開き、漢方薬メーカーと生産農家との間で需要と供給に関するマッチングの場が必要との認識で一致。全国を6~7ブロックに分けて説明会を開くことを決めた。
需給に関する情報が共有できれば、国産薬用植物の安定供給だけでなく、生産農家の所得増が見込めるというメリットもあるという。
開催時期について医政局経済課は、「あまり悠長なことは考えていない」とし、早ければ今夏をメドに行う予定だ。