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薬ネット販売を全面解禁―安全確保とルールが前提

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2013年06月07日 AM09:39


■安倍首相、成長戦略第3弾で表明

安倍晋三首相は5日、都内で講演し、規制改革を「一丁目一番地」と位置づける成長戦略の第3弾を発表した。首相は、大きな焦点となっていた一般薬のインターネット販売について言及。「消費者の安全性を確保しつつ、しっかりしたルールのもとで、全ての一般薬のネット販売を解禁する」と明言した。また、最先端の医療技術を一気に普及させると強調。先進医療の認定を加速させ、保険外併用の範囲を拡大する方針も打ち出した。

一般薬のネット販売をめぐっては、新たなルール作りに向け、厚生労働省の検討会で11回にわたって対応が検討されてきたが、ネット販売推進派、反対派の主張が折り合わず、5月31日で議論を打ち切り、両論併記の報告書をまとめた。

その後、一般薬のネット販売をどこまで認めるかについては、政治決着の場に委ねられていたが、最終的に首相が「安全性を確保しつつ、しっかりしたルールのもとで」と、一定の条件付きながら全面解禁する方針を明言。「ネットでの取引がこれだけ定着した時代で、対面でもネットでも消費者の安全性と利便性を高めるというアプローチが筋」とし、ネット販売を全面解禁する正当性をアピールした。

さらに首相は、「最新の医療技術を利用しようとすると、全額自己負担となる混合診療の問題について指摘を受けた」と混合診療の問題に言及。「この世界を大きく進化させ、一気に先進技術を普及させるための仕組みを作る」とした。

その上で、保険外併用の対象となる先進医療の申請について、学会等からの申し出を踏まえ、国が全面的にサポートする形に切り替えるほか、外部の評価機関を活用することで審査期間を半減する方針を相次ぎ打ち出し、保険外併用の範囲拡大を明言した。

■田村厚労相「ネット販売のルール作り、検討会設置で秋に方向性」

安倍首相が一般薬のネット販売を全面解禁する方針を表明したことを受け、田村憲久厚労相は同日夕、記者団に対し、「安全性を確保しつつ、しっかりとしたルールのもとで販売するということ」との認識を示した上で、「(一般薬全体の25品目が該当する)スイッチOTCと劇薬については、医療用医薬品に準じた取り扱いをしていかなければならない。そういう医薬品が、どう取り扱われるべきか、どう販売されるべきか、しっかりと検討する場を作り、秋ごろまでには方向性をつけたい」との考えを明らかにした。

また、今後は大部分の一般薬がネット販売できるようになるが、「これらの医薬品についても安全性の確認をどうするかも含め、ネット販売する場合にどう安全性を確保できるかを検討する検討会も同時に立ち上げる」との方針を表明。二つの検討会を通じて、秋ごろをメドにネット販売のルール作りを進めていく考えを明らかにした。

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