今回の調査では、全国74大学・学部のうち、来年度初めて受験生を輩出する鈴鹿医療科学大、立命館大の2校を除く72校にアンケートし、厚労省の発表形式に合わせる等の理由で5校が非回答、調査依頼時点で実際の受験者数が不明とする1校を除く66校が回答した。
その結果、新卒の受験者数は8881人、合格者数は7600人となった。また、今回は初めて新4年制課程修了の学生が3校で受験しているが、これを含めた「その他」(6年制既卒、新4年制既卒、旧4年制既卒)は1505人が受験し639人が合格(合格率42・5%)した。前回調査では対象となる67校全てが回答し、新卒合格率は95・4%だった。単純比較だが、今回は約10ポイント低下したことになる。
ただ、厚労省発表の「6年制卒」合格率79・1%と比べると6ポイント以上高く、やはり国試は「現役強し」の状況だ。
国公立と私立で比べると、国公立は概ね90%台だった。
私立で合格率100%は名城大のみで、90%以上は京都薬科大(97・5%)、東京薬大(97・1%)、近畿大(96・1%)など18校だった。
国試受験対象者に相当する10年度「共用試験合格者」に対する国試合格率(新卒者)は平均76・4%だった。今回の国試結果(新卒者)との比較が可能だった66校で、共用試験合格者は9953人、国試の新卒受験者は8881人、合格は7600人であった。
大学別の10年度共用試験合格者数に対する国試合格(新卒者)比率は、岡山大・広島大が100%と最も高く、次いで徳島大97・6%、金沢大97・1%、京都薬大96・9%、東京理大96・1%、大阪大96・0%、長崎大95・0%と続く。このほか熊本大、岐阜薬大、名城大、東京薬大、九州大、東北大、大阪薬大が90%台だった。
一方、10年度共用試験合格者数に対する国試合格者(新卒)の比率が60%台未満は9校、さらに50%台未満は4校となった。主に国公立では共用試験後の国試受験に至る比率、合格する比率が高い傾向にある。
その一方で共用試験合格者のうち半数程度しか国試受験までに至らない、あるいは受験が“絞られた”ものの合格率も低いといった大学もあるなど、修学環境に大きな差がある可能性がうかがえる。
表:第98回薬剤師国試結果(新卒者・その他)