厚生労働省が指定
あすか製薬株式会社(東京都港区)は、5月28日、同社が開発中の難吸収性抗菌薬「リファキシミン(rifaximin)」が、厚生労働省より肝性脳症に対する希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されたと発表した。
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肝機能低下に伴う肝性脳症
肝性脳症(hepatic encephalopathy)とは肝機能の低下による意識障害で、別名を肝性昏睡(hepatic coma)、門脈体循環性脳障害ともいう。進行した肝硬変や、劇症肝炎など重篤な肝障害によって引き起こされ、見当識の障害、不規則なふるえから、昏睡状態となり、最終的にはすべての刺激に反応しなくなる。肝機能低下による消化管内バクテリアが発生するアンモニア等の毒素が血液中に増加することが原因とされ、タンパク質の摂取制限と血液交換などが行われる。国内で21,000〜42,000人と推定される。
腸内滞在型、血中移行なし
リファキシミンは、難吸収性のリファマイシン系経口抗菌薬で、腸内でバクテリアの異常増殖を抑制する。既に欧州・アメリカなど世界40ヵ国以上で販売されている。適応症は、肝性脳症のほかに、腸内細菌性感染症(旅行者下痢)、憩室炎、結腸・直腸手術時の感染予防など。血液中に移行しないため、副作用が少ない。
IBSやクローン病にも海外では適応
アメリカでは、2010年3月「肝性脳症患者に対する再発リスクの軽減」の適応について食品医薬局FDAより追加承認を受けており、現在では過敏性腸症候群(IBS)への適応に向けて第III相臨床試験実施中。欧州ではクローン病への適応についてPhase IIIに入っている。
あすか製薬の独占販売
リファキシミンは、Alfa Wassermann S.p.A.(本社:イタリアボローニャ)が創製した抗菌剤で、あすか製薬は2010年4月より日本におけるサプライセンス権付き独占的開発権、販売権、製造権を取得、現在国内で開発を継続中。同社は本剤を含む内科系治療薬を重点領域と位置づけている。今回の指定は、国内での肝性脳症への有効な治療薬として、期待される。(長澤 直)
▼外部リンク
あすか製薬プレスリリース
http://www.aska-pharma.co.jp/pdf/company/news20130527