遠隔診療の視診に役立つシステム
セコムが遠隔診療に活用する「モバイル遠隔診療システム」を開発した。医療機関に設置する遠隔医療端末と患者が利用する遠隔診察端末、診察データを保管・管理するシステムで、照明環境に左右されずに肌の色を正しく再現する画像処理機能をもつ。
現在、訪問看護サービスの利用者は約38万人。病院の在院日数が短縮化する中で在宅医療の需要はさらに高まり、訪問診療、訪問看護と並行して遠隔診療の充実も急務となってきた。遠隔診療では触診、聴診が行えず、検査結果と表情、顔色、患部の色による視診が重要になる。診療の場となる患者宅の照明環境では視診が困難な点が遠隔医療のネックだった。
「モバイル遠隔診療システム」はセコム独自の画像処理技術で部屋の明るさや照明の種類に関係なく忠実にディスプレイに再現する。顔色、湿疹、褥瘡(床ずれ)、色素沈着の観察に有効で、医師は正しい色合いで視診し、的確・迅速な医療処置を行える。医療知識、専門技術のない家族やヘルパーにも操作可能で、医師、看護師が訪問しなくても質・満足度の高い診療を受けられる。
モバイル遠隔診療システムの特長
患者と医師が双方向で音声・映像通話を行う。画像サイズを調節して顔画像を実物大にすれば、対面診療のような環境となる。電子カルテに診療結果、画像データを保存し、必要に応じて表示でき経過観察に簡便。データはセコムの「セキュアデータセンター」に保管し、顔認証技術で患者を認証するため、患者の取り違え防止につながる。本体は小型・軽量で短時間に設置できる。無線通信でバッテリーも搭載されネット回線や電源は不要。
セコムはメディカルサービスの充実と共に、今回開発した色再現技術を監視カメラに応用し、迷子の自動検索や盗難車両の認識などのセキュリティニーズにも対応するという。(馬野鈴草)
▼外部リンク
セコムプレスリリース
http://www.secom.co.jp/