『Nanomedicine』(2013;8:1349-60)電子版に掲載
外傷や骨腫瘍により生じた骨欠損や癒合不全の治療では、主に患者の腸骨から骨を採取して移植する「自家骨移植」が行われるが、さまざまな弊害が問題になっている。
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平成25年5月27日発表によると、岡山大学、理化学研究所(和光市)の研究グループ(以下、同研究グループ)11名が、進化工学的手法でコラーゲン結合部位(CBD)と融合したBone Morphogenetic Protein (BMP)4を作成(CBD-BMP4)、in vivoで投与部位に長くBMP4を留まらせて骨形成を促進することに成功した。
CBD-BMP4は低用量で骨欠損、癒合不全などの治療に有効となる可能性が期待されている。
足場なしに骨形成を誘導
同研究グループは、通常のBMP4は投与後3日間で局所から消失するのに対し、コラーゲン結合能をもつCBD-BMP4は投与部位に2週間も留まることを証明した。
また、通常BMPはコラーゲンスポンジに染み込ませて投与されるが、同研究グループは、マウス骨髄内および頭蓋骨欠損部にCBD-BMP4を単独投与することで、骨形成遺伝子群の発現増強により有意な骨形成を誘導することに成功した(BMP4と比較で)。
米国では2つのBMP(BMP2とBMP7/OP1)がFDAに認証され、整形外科領域では臨床応用が進んでいる(特にBMP2)。しかし、BMP2を局所に留めることができないので、異所性骨化の問題が報告されている。(佐々木理恵)
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