シレンジタイドのメカニズムを解明
岡山大学脳神経外科の脳腫瘍研究グループが、悪性グリオーマの薬として、現在開発段階のシレンジタイドという薬の抗腫瘍薬についてのメカニズムを遺伝子レベルで解明した。
インテグリンは、癌の増殖や、血管新生などに関係するといわれている。シレンジタイドというのは、このインテグリン分子に対する薬であり、現在は悪性グリオーマの世界規模の臨床試験が行われている。
今回、シレンジタイドで処理したことによって、グリオーマ細胞が殺細胞効果があるということを認めた。そのうえ処理を行った悪性グリオーマ細胞を使って、DNAのマイクロアレイ解析を世界初で行った。その結果アポトーシスに関連する遺伝子グループの発現が変わっているということがわかった。
(この画像はイメージです)
悪性グリオーマを完治するための治療法
とくにカスペース8という遺伝子の変化がわかり、細胞実験や、動物実験で、発現の変化を確認することができた。
現時点では、悪性グリオーマを完治するための治療薬がない。そのため様々な基礎的研究や臨床研究が行われているのだが、新薬の治療メカニズムを解明することによって、今後薬剤の開発を進めていくことができる。またこれまでよりも効果的な治療法や、治療薬を生み出すことができると考えられている。
ただし悪性グリオーマは、増殖スピードが速いため血管新生が起こりやすいということや、正常脳に浸潤しやすいことなどがある。研究室では、脳腫瘍に対する基礎的研究として、腫瘍溶解ウイルス療法やがん抑制タンパクなどの研究を行ってきているのだが、現在は、新規分子標的薬シレンジタイドと併用療法についての実験を主に行っている。(福田絵美子)
▼外部リンク
『SpringerPlus』電子版
http://www.springerplus.com/content/2/1/160
岡山大学 プレスリリース
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id27.html