約3人に1人が変更を経験、半数以上が満足
日本最大級の病院検索サイトや医薬品検索サイト、および医療情報サイトを運営する総合医療メディア会社の株式会社 QLife(キューライフ)が24日、経口抗凝固両方の現状について実施した患者実態調査の結果を公表した。
この調査は、脳卒中、なかでも心房細動による脳梗塞(心原性脳塞栓症)の予防の中心にある、経口抗凝固療法に着目し、国立病院機構 九州医療センター 脳血管センター 脳血管内科科長の矢坂正弘氏監修のもと、現在ワルファリンを服用している患者60名と、新規経口抗凝固薬を服用している患者60名の、計120名を対象として、インターネット調査の方式により実施している。調査時期は2013年4月8日~4月14日だ。
それによると、まず経口抗凝固薬の変更経験を尋ねた質問では「ある」の回答者が35.8%、「ない」が64.2%で、約3人に1人は変更した経験をもつことが分かった。また、ワルファリンへ変更した際の満足度では「とても満足」が25.0%、「やや満足」が25.0%、「どちらともいえない」が50.0%となった。一方、新規経口抗凝固薬へ変更した際の満足度は「とても満足」が34.3%、「やや満足」が25.7%、「どちらともいえない」31.4%、「やや不満」が8.6%という結果になった。
新規経口凝固薬で「やや不満」の声もあるものの、全体として変更した半数以上が満足していることが分かる。
(画像はイメージです)
患者はかかりつけ医師・薬剤師の情報を重視するも、医療者による情報提供に差あり
他の経口抗凝固薬について説明があったかどうか、ワルファリン服用者と新規経口抗凝固薬服用者に、それぞれ分けて尋ねたところ、新規経口抗凝固薬の服用者では、「現在の経口抗凝固薬の説明と同じくらい詳細に説明を受けた」との回答が53.3%に上ったのに対し、ワルファリン服用者では、逆に「他の経口抗凝固薬について全く説明を受けなかった」が46.7%となっており、約半数が新しい治療選択肢に関する説明を受けていない実態が明らかとなっている。
経口抗凝固薬の選択において、効果以外で何を期待するか、3つまでの複数回答で尋ねた質問では、「制限される食べ物の種類が少ない」がトップで51.7%、次いで「出血などの副作用が少ない」49.2%、「費用が安い」46.7%、「服用回数が少ない」43.3%、「血液検査などで通院する回数が少ない」35.0%などとなり、費用面の問題もあるものの、患者はQOLが高まることを最も重視していることがうかがえる。
病気や薬の情報については、どこからの情報を重視するか、こちらも3つまでの複数回答で尋ねると、「かかりつけの医師」が99.2%とほぼ全員に近い支持で、次いで「かかりつけの薬局・薬剤師」が75.8%となり、以下「病院・薬局にあるポスター・冊子」34.2%、「インターネットの記事・書き込み」30.0%などで、やはりかかりつけの医師・薬剤師の情報を頼りにしていることが改めて示された。
このように、かかりつけの医師らを情報源として極めて重視していながら、ワルファリン療法中で他の薬剤の説明を受けていない患者が多い実態が明らかとなったことを受け、QLifeでは、ワルファリンのみが適応とされるケースもあることを加味しても、ワルファリンに慣れ親しんでいる医師が新しい経口抗凝固薬についての情報収集や患者への説明を十分に行っていない可能性があると指摘する。
調査の監修を行った矢坂正弘医師も、新規経口抗凝固薬は、管理が容易であることや脳梗塞予防効果はワルファリンと同等かそれ以上であること、大出血発現率はワルファリンと同等かそれ以下、頭蓋内出血がワルファリンと比較して激減するといったベネフィットがあるにもかかわらず、その事実が十分医師に伝わっていない可能性があり、結果患者への説明にもつながっていないのではとコメントしている。 (Yuk.)
▼外部リンク
QLife 経口抗凝固薬に関する患者実態調査 結果報告書
http://www.qlife.co.jp/news/130524qlife_research.pdf
QLife
http://www.qlife.jp/