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大塚製薬、統合失調症薬の治験の予備的解析結果を発表

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2013年05月25日 AM07:13

統合失調症とは、代表的な精神疾患のひとつで、日本ではschizophreniaを直訳した精神分裂病という名称が1937年から用いられてきたが、精神それ自体の分裂と誤解されやすいことや、患者の人格否定につながるなどの理由から、2002年から「統合失調症」と呼ばれるようになった。思春期から青年期に発症する例が多く、やがて特有な人格の変化をきたし、周囲に無関心となって自分だけの世界に閉じこもってしまう。しかし、最近では早期発見と適切な治療により回復可能であり、再発を防ぐ努力も可能となっている。原因はなお不明であるが、発生頻度は100人当たり1人といわれている。

患者自身が訴える主な症状は、幻聴や妄想を中心に、幻触、作為体験、思考への影響体験、考想伝播などがあげられる。幻聴には、だれもいないのに自分の言動を非難し批判する声が聞こえたり、自分の考えていることが声になって聞こえる思考化声があり、妄想には、病的な確信をもっていて周りの人が説得しても訂正不能であり、周囲のできごとに意味づけをする関係妄想、自分の地位・生命・財産が脅かされるという被害妄想、心身の状況について病的に悩む心気妄想、大きなことをいう誇大妄想、不貞を確信する嫉妬妄想などがある。

(画像はウィキメディアより)

入院率の低下を発表

大塚製薬とH.ルンドベックA/S は、予備的解析の結果、経口抗精神病薬から、アリピプラゾール持続性懸濁注射剤である月1回投与の「エビリファイ  メンテナ」への切り替えが実施された統合失調症患者で、前治療の経口抗精神病薬と比較して、精神症状再発による入院率が有意に低下した(p<0.0001)ことが明らかになったと発表した。

本試験は、2期間からなり、最初の期間では被験者の登録までに経口抗精神病薬の治療により状態の安定した統合失調症患者の6カ月間での精神科への入院率を後ろ向きに観察し、次の期間では登録した患者のうち「エビリファイ  メンテナ」月1回400 mgに切り替えを行った患者を6カ月間前向きに観察した。その結果、後ろ向き解析の3カ月間では、経口の抗精神病薬を服用していた患者の入院率が28.1%(n=34/121)であったのに対し、「エビリファイ  メンテナ」を投与された患者の3カ月間の前向き解析では入院率は6.6%であった(n=8/121、p<0.0001)。(堤朝子)

▼外部リンク

QLifePro  Press 2013年5月21日
https://www.qlifepro.com/press/

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