成人の喘息
喘息は軽症であっても不十分な治療のまま10~30年の長きにわたって軽い症状を繰り返しているうちに、次第に元に戻りにくい病態(リモデリング)へと進行して重症化していくのが一般的である。成人の症状は、気管支を取り囲む筋肉がけいれんするように収縮し、気管支の内側の粘膜がアレルギー性炎症によりむくみ、さらに痰などの分泌物が詰まることで呼吸困難を生じる。これらの変化が長く続くと気道が次第にわずかな刺激にも過剰に反応する「気道の過敏性の亢進」の状態になる。また、症状は夜半より明け方にかけて出現し、昼間はほとんどない。
喘息症状や喘息発作は様々な形で発症し、誘因は、アレルギーの原因となっている抗原との接触、かぜ、過労、ストレス、ペット、天候、運動、タバコの煙、強いにおい、冷気、飲酒、月経などである。また患者の重症度や治療の状態によって、症状の程度は様々である。重症であれば、誘因によって容態は急激に変化し、チアノーゼや意識障害をきたし、窒息死に至る場合もある。
(画像はウィキメディアより)
チオトロピウム投与の有効性
ベーリンガーは、第3相試験PrimoTinA-asthma(TM)で事前に定義されたサブグループ解析により、少なくとも吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性β刺激薬(LABA)による併用療法にもかかわらず、コントロール不十分な喘息患者において、チオトロピウムを投与したとき、最初の重度の喘息増悪及び最初の喘息悪化までの期間を延長させることが明らかになったと発表した。この改善効果は、特定の患者集団においてのみみられたのではなく、年齢、アレルギーの有無、喫煙の有無、気管支拡張薬への反応にかかわらず認められた。
本試験は2つの二重盲検、並行群間、反復投与、比較試験からなる第3相試験であり、対象被験者は5年以上の喘息歴を有し、40歳前に喘息と診断され、喫煙歴がない/喫煙歴がある(10パック・年未満)が試験参加の1年以上前に禁煙した、18~75歳の喘息患者であった。912例の患者が、48週間にわたり、チオトロピウム5μg投与群(456例)又はプラセボ投与群(456例)に割り付けられ、48週間の追加投与を受けた。(堤朝子)
▼外部リンク
ベーリンガー ニュースリリース 2013年5月22日
http://www.boehringer-ingelheim.jp/