アメリカでは、肥満とⅡ型糖尿病が深刻な社会問題になっています。それぞれ、エクササイズや食習慣で、リスクを減らしたり、症状を改善したりすることは知られてきましたが、日常生活の中で食生活や運動とは一見関係のなさそうな「時間の過ごし方」にはあまり注意が払われてきませんでした。
ところが、「時間の過ごし方」について調査すると、特にテレビを見ることで、糖尿病・肥満にかかるリスクが高くなること、特に激しい運動を行っていなくても、少し動くことを心がけるだけで糖尿病や運動のリスクを低くできることが報告されていました。
1992年から1998年の間に、50277人の女性を対象にしました。BMIは30以下。調査を始めたときには、心臓血管系の病気や糖尿病、がんの診断は受けていない健康な女性たちです。このうち、6年間で、BMIが30を超えた女性は7.5%の3757人でした。また糖尿病の診断を受けた人は1515人でした。
この女性たちの、「時間の過ごし方」の習慣を色々な面から分析してみたところ、テレビを見て過ごす時間が1日2時間増えると、肥満になるリスクは23%アップ、糖尿病リスクは14%アップすることがわかりました。これは、座って仕事をする人でそれぞれ、5%、7%だったことに比較しても、明らかに高いと言えました。例えば、テレビを見るカロリー消費は、書き物をするカロリー消費は体重50キロの人で60分52キロカロリーさほど変わらないのです。
なぜ、テレビが特に関連するのかは、この調査だけでは不明ですが、例えば食べ物のコマーシャルにさらされることで、結果的にものを食べる量が増えてしまったりすることもあるのではないかと指摘されています。
一方で、この調査では多くの人たちが「私もやってる!」と思うような簡単なことで、肥満や糖尿病のリスクが大幅にダウンすることも分かりました。リスクをダウンする方法は、次回のこのコラムでご紹介します。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
安静時(睡眠、TV鑑賞、読書など)の消費カロリー計算
http://hbb.amary-amary.com/calc_quiet.php
Television Watching and Other Sedentary Behaviors in Relation to Risk of Obesity and Type 2 Diabetes Mellitus in Women
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx