■病棟業務定着に向け方向性
北田氏は、病棟薬剤業務実施加算の恒久化を目指す2014年度診療報酬改定に向け、「エビデンスが絶対に必要」と強調。6月に日病薬が実施する定点調査によって「われわれの業務が正当に評価されるデータを出していきたい」と病棟業務の定着に意欲を示した。日病薬の調べによると、加算の届け出施設数は13日現在で全国1006施設に上っている。
病棟加算の新設により、薬物療法プロトコールの提案、共同作成・管理等、処方前の入院患者に対し、医師等と協働して行う薬物療法関連業務が診療報酬で評価されることになったが、北田氏は「これからは処方の一段階前にかかわることが求められている。病棟加算の算定の有無に関わらず、病棟業務の充実を図ることが重要。両方あって医師等の負担軽減につながる」と指摘。薬剤管理指導料から病棟加算へのシフトは意味がないとして、病棟加算と薬剤管理指導料に関連する業務を両輪とした活動展開を求めた。こうした活動により、病棟業務展開の効果を立証し、エビデンスを構築していくことが必要との考えを示した。
その上で、多職種のチーム医療において、薬に関する全ての責任を持つ病院薬剤師として、資質向上と専門性を高める不断の努力が信頼につながると強調。「医薬品の適正使用は、開発の非臨床も含めて熟知して、本当の実践ができる」「薬学の専門性を駆使し、副作用防止の観点から処方提案をすることが求められている」と役割を強調した。
その上で、「処方提案からデータ解析、最適化を行い、体系化された情報を創出し、患者一人ひとりに最適な薬物治療を実現していかなければならない」と述べ、薬学的考察から患者情報・状態の把握まで、研究マインドと臨床マインドを持った薬剤師の必要性を訴え、「チーム医療の中で病棟業務を定着させ、顔の見える薬剤師から、存在感のある信頼される薬剤師になるべき」とした。