子宮頸がん予防ワクチン接種後の副反応が1196件
子宮頸がん予防ワクチンを接種した後に生じた副反応報告を受けて、第1回目の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会が開催された。
厚生労働省は、医療機関から報告されていた発熱やアナフィラキシーショックなどの副反応の報告が、2010年11月から今年の3月までに計1196件あったと報告した。なおこのうち106件は、疼痛や筋力低下など後に障害が残る重篤なケースであったと説明した。
具体的な報告数としては、子宮頸がん予防ワクチンの接種者数は推計でグラクソ・スミスクラインのサーバリックスは258万人で、MSDのガーダシルは70万人である。3月末の副反応の報告数としては、サーバリックスが1001件で、その中でも重篤報告数は91件であった。ガーダシルでは195件であり、重篤報告数は15件だった。
(この画像はイメージです)
方針は摂取中止ではなく医療データの収集
同検討部会は、症状が多岐になっていることや、接種してから実際に発症するまでにかかっている時間が、症例によって異なっているなどの理由において、医学的なデータが現在は不足していると判断した。そのため今は子宮頸がん予防ワクチンの定期接種は中止をせず、副反応に関する医学的なデータを収集するという方針を決定した。
部会長である国際医療福祉大副学長の桃井眞里子氏は、「今回示されたデータには、1年後などという症例まであり、幅がかなりあった。また、接種してから発症するまでの日数が不明という例もいくつか報告されていた。また症状自体も色々とあったため、現時点ではすぐに接種中止をするための医学的論拠としてはまだ少ないと考えられる。そのため今後は更なる情報を、早急に収集していかなければいけない」とまとめた。
5月15日までに死亡は2件報告されているが、基礎疾患があったということや時間も掛かっていたということなどからワクチン接種と死亡の関係については否定している。 厚労省は今後子宮頸がん予防ワクチンの効果や副作用、そして健康被害状況などをまとめた文書を各医療機関に配布することにしている。(福田絵美子)
▼外部リンク
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008f2q.html#shingi13