構造的には色が変わって見えるはずなのに
年をとると、目のレンズの役割をする水晶体が、白濁したり、黄色っぽくなったりという変化を起こします。これが、老人性白内障です。
特に、青色の光に対する感受性が変わるので、黄色から緑、青色で色の見え方が異なるような、レンズの状態になってくるとされています。
ところが、このようなレンズの物理的な状態に反して、色の見え方にあまり変化が出ない人が多いそうなのです。
年をとっても色を見分けられるのはどうして?
PLoS ONEに掲載された論文では、18歳から75歳までの185人の人たちを対象に、ものの色の見え方を調査しています。様々な色の違いを見分けることができるかを観察しました。すると、年をとってくると、似た色同士での見分けは難しくなってくるそうですが、異なる色に関しては見分けることができることが分かりました。
レンズの物理的な状態に反するこの結果に関して、研究チームでは脳が色の調節機能を持っていて、若い頃のレンズで見ていたような状態に視覚情報を再調節するのではないかと解釈しています。そして、この再調整能力は、一生を通じて活かされると考えられているそうです。
ものを見るというメカニズムで、このように年齢に伴う変化を和らげるような調節が行われていたとは不思議な話ですね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Colour Constancy Across the Life Span: Evidence for Compensatory Mechanisms
http://www.plosone.org/article/
Study suggests brain keeps colour vision constant across lifespan
http://www.healthcanal.com/brain-nerves/