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松原日病薬副会長「病棟業務加算の効果立証を」―各病院でエビデンス構築要望

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2013年05月15日 AM10:09

日本病院薬剤師会副会長の松原和夫氏(京都大学病院薬剤部長)は11日、神戸市内で講演し、昨春新設された病棟薬剤業務実施加算は「何のエビデンスもなければ、いとも簡単に廃止されてしまう」と危機感を表明。来春の診療報酬改定に向けて、病棟薬剤業務の有用性を示すエビデンスを各病院で構築するよう求めた。

薬剤師が病棟に常駐し処方提案などを行う業務を週に20時間以上行った場合に週1回、100点を入院基本料に上乗せできる同加算が昨春に新設された。松原氏は、同加算の効果を評価する厚生労働省の調査が7、8月頃に実施されるとし、「それでよい結果が得られなければ難しい局面を迎えてしまう」と説明。「いかに150点、200点にするかということも重要だが、まずは100点を守らなければいけない」と述べ、エビデンスの構築が求められるとした。

そのポイントとして「加算の背景を理解して評価目標を設定し、数値化してほしい」と要望。医療や薬物療法の有効性・安全性の向上、医療従事者の負担軽減につながる評価項目を設定し、全国の算定病院でその数値化に取り組むよう求めた。

具体例として京都大学病院では、薬剤師が病棟に週20時間滞在するようになった結果、週10時間滞在していた時期に比べ、副作用の発見や重篤化の回避など薬学的介入件数が約4倍に増加したことを提示。「こういったデータを大病院では自病院だけでとれるし、中小病院では連携してとってほしい。医療従事者からの問い合わせ件数が加算算定前後でどう変わったのかというだけでも、十分なエビデンスになる」と語った。

一方、病院薬剤師の人員については、「同加算を算定した約1000施設のうち約7割以上が薬剤師を増員せずに算定している。それまでの業務を大きく変えずに少し整理しただけで算定に至っている。非常に危惧している」と表明した。

米国の病院薬剤師数は100床当たり9~10人で、中小病院の薬剤師数はもっと多い。日本では逆に中小病院ほど薬剤師数が少ないとし、「中小病院の薬剤師をどう確保するのかが今後の課題。ここを増やさないと全体も上がっていかない」と指摘。同加算の算定病院では「15床に1人の薬剤師数に照準を合わせてもらえればアウトカムを引き出せる業務を行える。それによって経済的なメリットがあることを病院経営者に示し、1人でも多くの薬剤師を雇用してほしい」と呼びかけた。

このほか、注目を集めている医師と薬剤師の「共同治療薬物管理」(CDTM)について「米国と日本では法体系が異なるため、CDTMという言葉はあまり使わない方がいい。使うなら日本版CDTM。それよりも大事なのは、CDTMのもとになる包括的指示(CPA)に基づいた薬物治療管理。それを上手に使って薬剤師の活動を広げてほしい」と説明。

その一例として京都大学病院では、医師と薬剤師の合意に基づいて、持参薬処方オーダ、内服定期処方Doオーダ、TDMオーダ補助の権限を薬剤師に委譲するプロトコールが実行されているとした。

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