■ネット販売検に提示
厚生労働省は10日、「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」に、議論を進めるためのたたき台を提示した。第1類を販売する際には、薬剤師が眼や嗅覚などの五感を活用し、購入者の症状や挙動といった情報を最大限収集する必要があると指摘。第1類の情報提供が疎かにならないよう、使用者から情報提供不要の意思表示があった場合に薬剤師の説明が不要となる規定を見直す方向性を示した。第2類については、多くの情報が収集される必要があるとしたが、指定第2類は第1類に準じた情報の収集を求めると共に、禁忌等に該当しないことを確認する考えを示した。
たたき台では第1類について、医療用から一般用へ移行してから間もないなど、一般薬としての安全性評価が確立されておらずリスクが不明であるものや、日常に支障を来す副作用の恐れがあり、特に注意が必要なものが含まれるとし、販売する薬剤師に購入者から最大限の情報を収集するよう求めた。
その上で、収集すべき情報として、アレルギーや副作用歴、併用薬の有無のほか、▽症状の外見や状態▽口臭や体臭▽挙動――なども挙げた。
こうした考えを踏まえ、薬事法上の情報提供不要の規定も見直す。薬事法では、第1類の情報提供は義務となっているが、購入者側から情報提供が不要の旨の申し入れがあった場合は、この義務規定を適用しないこととなっている。
ただ、一部の薬局などでは、「第1類医薬品情報提供不要カード」を導入し、第1類の購入者が情報提供が不要だと思った場合に、カードをレジに持っていけば、情報提供を受けずに購入できるといった販売体制をとっているケースが散見されるなど、情報提供が疎かになるケースがあるのも事実だ。
たたき台では、情報提供が不要となるケースについて、購入者が専門家である場合や既に説明を受けた継続使用者である場合に限定すると共に、「それを専門家が確実に確認するなど、見直しを行うことが必要ではないか」とした。
また、使用者本人以外の者が代理で購入する場合について、▽購入者が使用者本人であるかどうかの確認を行うこと▽購入者が使用者本人でない場合も含め、使用者に関する最大限の情報を収集すること▽第1類については、購入者側に交付した書面に、販売した専門家の氏名等を記載する▽購入者側の情報を記入した医薬品の購入履歴を整備する――などの対応案も示した。
ネット販売と併用して、テレビ電話やメールなどを使用することについての利点や課題も示した。対面では、「症状の外見や状態」「購入者の挙動」などを含む多くの情報が収集できるのに対し、テレビ電話では、「症状の外見や状態」「購入者の挙動」といった情報が収集しにくいとした。電話やメール・Web画面では、収集が難しい一方、店頭での購入がためらわれる医薬品が購入しやすくなったり、提供した情報を後で読み返すことが可能などのメリットを挙げた。
意見交換では、第1類を販売する際に収集する“最大限の情報”をめぐり意見が対立。生出泉太郎委員(日本薬剤師会副会長)は、「適切な情報提供を行う上で、できる限りの情報を収集することは専門家としての義務」とし、中川俊男委員(日本医師会副会長)も同調したが、國重惇史委員(新経済連盟顧問)は、臭いをかいだり、接触するといった行為が「医行為に当たるのでは」などと反対した。