前回は、ビタミンDの働きについてを復習しました。「Sunshine Vitamin」は、ここ数年では「健康に良い」というシチュエーションで、しょっちゅう学術報告やメディアに登場してきました。ところが、このイメージに疑問符をつけたのがジョンホプキンズ医大からの報告です。
調査では、血中のビタミンDの濃度と健康との関係を調べましたが、これによると一定量を超えると、それ以上の効果は得られないことが分かりました。それどころか、過剰に摂りすぎると、効果が減少してしまうようなのです。
論文は、American Journal of Medicineに掲載されました。2001年からの3年間で得られたデータ、10000件以上について分析を行い、この中で2006年に死亡した人とビタミンDの摂取状況についての関連を調べました。
血中のビタミンDの量や状態の指標となる、血中カルシフェジオール濃度は、IOMの基準によると、1ミリリットルあたり21ナノグラムが標準と過剰の境界の値となっています。濃度が21ナノグラムの人では、分析結果で、死亡率が半分になっていました。ところが、21ナノグラムを超えると、再び死亡率が上がることが分かったのです。
同じ研究チームが2012年に行っている発表でもやはり21ナノグラムが鍵となっていました。心臓血管系の炎症の指標、C反応タンパク質も、21ナノグラムを境に減少したり増加したりするので、ビタミンDを摂りすぎては逆効果になってしまうのです。
調査を行ったアメール医師によると、ビタミンDの強化摂取をすすめられるのは、高齢者、閉経後の女性と、腎臓病にかかっている人たちとのことでした。こうした人たちは、血中のビタミンDの濃度が引くなりがちなので、意識的に補うことで良い結果を期待できるそうです。
このように、病気などの症状からビタミンDが不足しがちな人以外では、ビタミンDの摂りすぎについて更に調査が続けられる必要があるとは言え、少なくともお金の無駄だとしています。
ビタミンDのレベルをきっちり21ナノグラムに保つことは難しいことではありますが、摂りすぎることでせっかくの効果が半減することは念頭に置いて、本当に必要なサプリなのかを考えたいものです。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Relationship between 25-Hydroxyvitamin D and All-cause and Cardiovascular Disease Mortality
http://www.amjmed.com/article/
Relation Between Serum 25-Hydroxyvitamin D and C-Reactive Protein in Asymptomatic Adults
http://www.ajconline.org/article/