事故の概要
横浜市立大学附属病院は患者に濃度の高い酢酸液を注入して医療事故が発生したことを4月30日に公表した。
(この画像はイメージです)
昨年8月から入院していた心不全、腎不全の50代女性の患者は経口による食事摂取が困難で栄養チューブで栄養液を補給していた。
4月7日にCCU(冠失陥集中治療室)で加療中に栄養チューブが詰まり、医師の許可を得た看護師が開通させるために酢酸ビン(濃度約30%)から液15mlを取り出し湯3mlで薄めた液(濃度約25%)をチューブに注入した。直後に患者が腹痛を訴えたため、新たに微温湯を注入して応急処置、CT撮影を行ったが改善しなかった。4月8日注入した酢酸液の濃度が高かったことが判明、ICUで治療した結果、一時的に回復がみられたが、4月22日悪化し、4月24日に亡くなった。
事故の原因と再発防止策について
院内では栄養チューブの詰まりを予防する場合、微温湯を用いることになっていたが、詰まりを開通させる場合のマニュアルはなかった。今回の事故は、マニュアルのない中で栄養チューブの詰まりを開通するために濃度の高い酢酸液を用いたことが原因と考えられる。
再発防止を図るために早急に2つの事項を院内で徹底した。
1.入院患者に対するチューブの詰まりを開通する場合、酢酸液の使用を禁止とし微温湯のみとする。
2.酢酸ビン(濃度約30%)を病棟に置かない。
2.酢酸ビン(濃度約30%)を病棟に置かない。
事故発生後に立ち上げた院内医療事故会議のもとに、医師、看護師、栄養士などで組織する栄養チューブ管理検討ワーキングを設置して、栄養チューブ管理の院内統一ルールを見直すなどの再発防止策を検討する。さらに外部委員を入れた事故調査委員会を立ち上げて事故の調査を行っていくという。(馬野鈴草)
▼外部リンク
横浜市立大学病院プレスリリース
http://www.yokohama-cu.ac.jp/