医薬品医療機器総合機構(PMDA)が各国規制当局と緊密な協力関係を構築し、“世界のPMDA”としての地位確立に向けた道筋となる「国際ビジョン・ロードマップ」を公表した。[1]最先端科学技術への対応[2]国際事業基盤の整備[3]承認審査分野における情報発信[4]安全対策分野における情報発信と国際協力[5]日本薬局方の国際展開――を重点分野に選定し、具体的施策とマイルストーンを明示。各国の承認審査で日本の審査結果の利用が進むよう、審査報告書の英訳品目を拡大することや、英文Webサイトを大規模改修する方針を盛り込んだ。
PMDAは2013年度まで5年間の第2期中期計画期間中の「国際戦略」や、5~10年先を見据えた「国際ビジョン」に基づいて国際的活動を積極展開している。今回のロードマップでは第3期中計に先立って今後数年の具体的な行動計画や活動目標をまとめた。
最先端科学技術への対応では、科学委員会の活動状況や提言を海外へ発信する。先端科学分野の国際シンポジウムの推進、申請電子データを活用したモデリング・シミュレーション等の手法を利用した品目横断的な解析にも取り組む。
国際事業基盤では、14年度までに高い語学能力と国際感覚を有する職員向けの特別な英語研修プログラムを作成し、戦略的に研修を実施するほか、海外規制当局との交流機会を増やす。大学・研究所への留学制度も創設する。
承認審査分野では、今年度に年間20品目の審査報告書を英訳し、将来的に重要な全品目の網羅を目指す。また、14年度までに翻訳担当部の拡充、審査報告書の定型化・簡素化、翻訳データベースの開発、外部リソースを進める。第3期中計に合わせて海外への情報発信に関する長期的方策を策定する。
安全対策分野では、各国と迅速に情報共有するため、5週に1回の海外規制当局への事前情報発信を継続すると共に、臨時・特別の情報発信を充実させる。国際情報室の人員増と同室をサポートできる人員を安全対策業務の職員から育成する。
日本薬局方については、14年度までに国際展開の基本方針を策定し、英文版を早期発行するための人員を確保する。15年度以降は英文版を日本語版と同時に発行する。