バルサルタンについてメディアが報道
京都府立医科大の松原教授が発表した降圧剤『バルサルタン』の論文が次々と撤回された問題において、ノバルティスファーマが外部専門家を招致して第三者検証を行うと発表した。
問題の発端は、松原教授が公開した論文に多くに誤りや疑義の指摘が国内外の専門家から出され、一度提出した論文を撤回したことに始まる。その後の報道で、ノバルティスの社員が医師主導臨床研究試験に関わっていたかもしれないということや、その社員がノバルティスの社員ということを伏せて参加していたこと、松原教授の論文がバルサルタンを非常に好意的に評価し、同時にバルサルタンも急速にシェアの拡大に成功しノバルティス社も大きな利益をあげていた事などから何らかの利益相反があったのではないか?と問題視された。
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ノバルティスが第三者の外部専門家に調査を依頼
ノバルティスでは、資金の提供は認めつつも(論文の)データに我々は関与できないとしている。また、一部報道で指摘されている社員の関与などについて、第三者の外部専門家による調査を開始すると発表。その調査結果を元に検証していき適切な措置を講じると発表した。
また日本で実施されたバルサルタンの医師主導臨床研究の結果としては、バルサルタンの承認申請の資料としては現在使用されていない。またノバルティスファーマで開発された「高血圧症」に使用される薬剤は、1996年にドイツで承認されてからは、世界の約100カ国で承認されている。
日本でも2000年9月に承認されており、同年11月に発売された。また、2010年10月には薬事法に基づく再審査の結果を受領しており、市販された後の有効性や安全性に関する審査を終えている。
今回、製薬会社と医療界との不透明な関わりについてクローズアップされる形になったが、同様に問題なのは一連の論文撤回において、日本の臨床試験の信頼性が大きく損なわれた事だろう。(福田絵美子)
▼外部リンク
ノバルティスファーマ株式会社
http://www.novartis.co.jp/valsartan/